※本ページは Web謎解き Gothic のコンテンツ中で登場する言語について紹介するページですが、謎を解くためにこのページの内容を理解する必要はありません。あくまでサブコンテンツのひとつとしてお楽しみいただく内容となっております。
Contents
フェイチャターの特徴
フェイチャターは話し言葉を基に発達した言語です。
そのため他言語では普通定義されているようなことが文法上定義されていないケースが多々あり、文脈から意味を推測する以外に文章の意味を定義できないといったことがしばしば発生します。
また、母音以外に有声音を持たず、話していても不自然なほど声帯に負担がかからない、逆に言えば大声で話すことが困難ですらある言語です。
アルファベット
フェイチャターのアルファベットは以下の19文字と人称代名詞を表す特殊文字1文字から成ります。
a | a | |
e | e | |
y | i | |
o | o | |
u | u |
k | c, k | |
f | f | |
h | h | |
l | l | |
p | p | |
s | s | |
t | t |
m | m | /m̥/(無声音) |
b | th | /θ/ |
c | ch | /tʃ/ |
q | * | /ɸ/(日本語の「ふ」、ファ行の発音) |
x | sh | /ʃ/ |
z | * | /tʒ/ |
n | * | 吸気音か黙字 |
i | * | 人称代名詞。/ɸɪ/と発音する |
大文字小文字の区別はありません。
基本的に表音文字として機能しますが、フェイチャターには母音以外に有声音がないため、他の言語をそのまま音写することができません。
音韻対応
多くの英語の語彙をそのまま用いますが、その特徴の為音写が困難な語彙が多く存在します。一部例外もありますが、基本的には有声音を音写する語彙は以下のような対応で変換します。
/b/ | p | /p/と発音。pの音写と被る |
/d/ | t | /t/と発音。tの音写と被る |
/g/ | k | /k/と発音。c,k,qの音写と被る |
/ʒ/ | x | /ʃ/と発音 |
/n/ | n | ほとんどの場合発音はないか微弱で、弱い区切りのように切れる |
/v/ | f | /f/と発音。fの音写と被る |
/w/ | q | /ɸ/と発音 |
/z/ | z | /tʃ/と発音 |
/ð/ | b | /θ/と発音 |
rを含む語彙は、その前の母音と一括りにして変化します。発音上は変化がないものもあります。
語頭のr, 黙字の後のr | q | |
語中のr(子音の後のr) | n | 多くは発音しない |
ar | ae, aye | /ɑː/と発音 |
er | ay | /eɪ/と発音 |
ir, ur | ye, ue | 発音は変化しない(/əːr/のまま) |
or | oe, oue | /ɔː/と発音 |
二重母音、二重子音
フェイチャターは二重母音や二重子音を嫌う傾向があります。
二重母音は発音をベースに一字に変換できる場合、優先的に変換します。ただし一部の二重母音はその限りではなく、母音を2つ(以上)並べて表記することがあります。
/aɪ/ | y | 発音はそのまま |
/eɪ/ | a | 発音はそのまま |
/aʊ/ | oy | /ɔɪ/と発音 |
/ɔɪ/ | eu | 発音はそのまま |
/oʊ/, /əʊ/, /ɔː/ | o | 発音はそのまま |
前述したrを含む語彙でない場合、ほとんどの二重子音の2つ目の子音はそのまま消滅します。ただし、子音の2つ目が第1アクセントに近い場合はそちらを残してそうでない方の子音を消すことがあります。また、合成語で子音が並んでいる場合はそのままにします。表記上は ‘ (アポストロフィー)を中間に打ちます。三重子音以上の場合、2字目を
飛ぶ(fly の音写, lは消滅する)
通り(streetの音写, 1つ目のtは消滅する eeは
挑戦(challengeの音写, chは一字で表せるためそのまま、2つ目のlは消滅する nは発音しないのでgより優先的に消滅する)
黙字
フェイチャターに音写する前から黙字であった文字が表記されることはありません。それは単に消滅します。
輝き(bright の音写, ghは消滅する)
伝承(folklore の音写。最初のlは黙字のため消滅し、kとlは連続するが合成語のため消滅しない)
文法/語彙的特徴
話し言葉を基にして発達した言語のため、厳密に定義されない文法が多く、同じ意味の文章を全く異なる文で表現できることもあれば、同一の文が全く異なる2つの意味を持つこともあります。たとえば、以下に示した例では、同一のセンテンスで異なる意味を表しています。これらは文脈による使い分けの他に区別する術を持ちません。
(朝食を召し上がってください。)
(私は朝食を食べます。)
概して、多くのセンテンスがそれが話された(書かれた)文脈に依存するということが言えます。後述する人称代名詞の特徴に特に色濃く表れています。
代名詞、主語
フェイチャターは人称代名詞を一種類(
この特徴によりフェイチャターでは一人称と二人称、三人称を一切区別しないため、代名詞を多用すると書き言葉での意思疎通は困難だというのが通説となっています。
文脈により主語が自明でない場合や、特に主語を強調したい場合には、人称代名詞を挿入するのが普通です。特に単文では主語の特定が困難なため、問い掛けなどでないほとんどの文章には人称代名詞が入ります。
・主語が必要な例
(私は)家にいます。 (誰、あるいは何のことを言っているか主語なしではわからないため必要)
・主語が不要な例
(私は)頭が痛い。 (明らかに自分のことについて言及しているなら主語を省くことができる)
・主語の要否が状況により変化する例
(あなたは)探し物をしていますか? (話の流れの中で軽く問い掛けるような文脈では主語が不要になる)
ただし奇妙なことに、主語が必要な例であっても、人称代名詞を挿入しただけではそれが何を意味するのかが自明になることはありません。同一の文章で、「私は家にいます」「あなたは家にいます」「彼/彼女は家にいます」「それは家にあります」のどの意味でも取り得ます。
名詞、動詞
英語の語彙が由来である単語が多いですが、フェイチャターは「言いたいことを一つの名詞か名詞句にまとめて表現する」という性格を持つため、動詞の数は英語と比較して少なくなっています。
AとBが同一である、ということを表す動詞はありません。それは単純にAとBを並べることで表されます。
どこから来たのですか? (
英語ではWhere are you (come) from?となりますが、フェイチャターの考え方では単純に「(名詞)は何ですか?」と聞く形を取りたいため、「あなたが元いた場所」を意味する名詞か名詞句が必要となります。
時制
時制は過去形と現在形の2種類しかありません。確定的な未来の事柄を表す場合は、現在形を使います。
意志を表す場合は
単なる不確定な予測については表す方法を持たず、通常そのような表現を避けるようにします。たとえば、「きっと大丈夫だよ」のような曖昧な表現はフェイチャターでは不可能で、
私がやります。(意志)
晴れたらいいのになあ。(願望)
対義語が存在する語彙
対義語が存在し、一方が他方に比べて”悪い”意味を持つ言葉(good に対する bad や、light に対する dark など)は、語彙として存在しません。
代わりにその対義語の頭に
(good – bad)
(light – dark)
ただし、対義語が存在していても、相対的な善悪がない単語については、そのような変化は起こりません。たとえば、left と right はそれぞれ
色を表す語彙
独立したトピックですが、色そのものを直接表現する語彙(red, blue のような単語)はありません。色を表現する際は「~のような」、という比喩表現で表します。あるいは単に他の意味を持つ単語を色を表す語彙に転用します。
「~のような」という形容詞は、名詞に
(頬のような桃)
(絹のような毛皮)
(直訳すると「不可視のような」となり、一語で真っ白または真っ黒を表す最も強い表現となるが、自然に存在する色に対して通常このような表現はしない)
非自立語(付属語)
冠詞(英語のa, the)など、それ単独で意味のない冗長な単語は存在しません。
おわりに(免責事項)
著者は言語の専門家ではありませんので、内容の誤りについては保証しておりません。
また、本作中に登場する全ての文章が完全に上記のルールに従って書かれていることを保証するものではありません。