【ボドゲレビュー】本草学 Herbalism – 薬草推理ゲームが何やっていいかわからない異常な難しさ

ボドゲの楽しみ方は人によって千差万別ですが、特に頭脳に自信がある系の人が集まるとこんな遊び方を目指す人というのが少なからずいます。

これはやりこみとはまた違う話で、初見のゲームのルールを聞いて「あ~なるほどこういうことをしたいゲームなのね」みたいなことがさらっと理解できるとなんか強そうじゃないですか。経験値がないところでもちゃんと適応できる器用さだか万能さが欲しいっていう欲張りな欲なのですが、そんな人でも「何をしていいかわからない」ゲームというのが時々、本当に時々あります。

こちらのゲーム、長いこと持っていて頻繁に遊ぶし、ルールも単純なのに、未だに何が正解なのかわからないというちょっと変わったゲームです。ロジックのわかる解説を当ページで紹介していますので、我こそはと思う方、ぜひ考えてみてください。

どんなゲーム?

プレイヤーは疫病が蔓延している国の薬師です。薬草の研究や調合を通して、条件に合った正解となる特効薬の組み合わせを推測するゲームです。

  • プレイ人数:3~4人(おすすめは3人)
  • 対象年齢:10歳以上
  • プレイ時間:15~30分
  • 版元:EmperorS4 Games
  • 発表年:2019

チャートは当HP独自の採点基準により作成しています。
全体的に右に寄っているものほどパーティーゲーム向け、左に寄っているものほどじっくり考えるボドゲマニア向けです。

デザイン:珍しく抑えめの評価ですが、私は個人的に生薬学専攻でこのゲームがドンピシャだったので買いました。普通の人にとっては良くも悪くも普通だと思います。

ルールの複雑さ:できることは単純なのでルールはすぐ理解できます。一方で何をすればいいのかで頭を悩ませそう。

その他:カードスリーブはTCGサイズ(91×59mm)。
ルールブックは簡体中文、繁体中文、英語の3冊が標準で付属。日本語版はなし(輸入版は日本語ルール別添)。
記事執筆時点で輸入代行業者がなく、事実上絶版状態。

こんな人にオススメ

  • 3人プレイ用のゲームを探している人
  • 頭使って唸るようなゲームがしたい人

販促する気あんの? って言われそうな評価ですが、私は正直者ですので総評はこんなもんです。ただ非常に独特な思考力が必要で、時々遊びたくなるタイプのゲームですね。

プレイ風景

生薬カードが14枚あります。内訳は青5枚、緑4枚、黄色3枚、赤2枚。青は全部「清水」(要はただの水)で区別できませんが、その他の色は一枚ずつ絵柄が異なっており区別できます。

これを3人プレイなら4枚ずつ、4人プレイなら3枚ずつ配ります。そうすると2枚余りますよね。

このゲームの目的は、その余った2枚が何色と何色の組み合わせであるかをいち早く当てることです。

つまり全員の手札の内訳がわかれば必然的に余った2枚が何であるかもわかります。それを目指せばよいのですが……。

行動

上の盤面を見て頂ければわかる通り、色カードが7枚(各色の組み合わせ1つずつと任意の同色の組み合わせ)と、行動カードが5枚が並んでいます。

プレイヤーは各ターンに以下の5つから好きな行動を1つと、色の組み合わせを1つ選び実行します。

行動の名称はカードに記載している通りです。和訳がないので中国語をそのまま書いています。実際のカードにはアイコンで行動の内容がわかりやすく書いてあるので、中国語が読めなくても問題ありません。

組薬

他のプレイヤーを一人選びます。選ばれたプレイヤーは、選ばれている色の組み合わせのカードを1枚ずつそのプレイヤーに渡します。

例:青/黄の組み合わせを選び、プレイヤーを指名した。指名されたプレイヤーは手札に青が2枚、黄が1枚あったので、青と黄を1枚ずつ渡した。

例:青/赤の組み合わせを選び、プレイヤーを指名した。指名されたプレイヤーは手札に青が3枚あったが赤のカードはなかったので、青を1枚だけ渡した。

  • 写真ではわかりやすいように渡されるカードを公開していますが、実際には渡されたカードは他のプレイヤーからは見えません。
  • 持っていない色のカードは渡す必要はありません。逆に持っているのであれば必ず渡さなければいけません。
  • 同色の組み合わせの場合、指名する側は色を指定することはできません。指名された側は2枚以上持っている任意の色を選び、その色のカードを必ず2枚渡します。2枚持っている色がない場合、カードの受け渡しは起こりません。

餵薬

選んだ色の組み合わせのうち片方の色のカードを、自分の手札から他のプレイヤーに1枚渡します。渡されたプレイヤーは、選ばれている色の組み合わせのうち、もらった色のカードでない方の色のカードを全て渡します。

例:緑/黄の組み合わせを選び、緑のカードを1枚渡した。渡されたプレイヤーは手札に黄のカードが2枚あるので、渡したプレイヤーに黄2枚を返した。

  • 同色の場合、もらった色のカードを(もらったカードも含めて)そのまま返します。
  • 該当する色のカードが0枚の場合、何も返しません。

問薬

選んだ色の組み合わせのうち片方の色のカードを、自分の手札から他のプレイヤーに1枚渡します。渡されたプレイヤーは、選ばれている色の組み合わせのうち、もらった色のカードでない方の色のカードの枚数だけを伝えます。

例:青/緑の組み合わせを選び、緑のカードを1枚渡した。渡されたプレイヤーは手札に青のカードが3枚あるので、「3枚」と宣言した。

  • 同色の場合、もらった色のカードの枚数を宣言します。もらったカードも枚数に含めます(この場合、0枚と宣言することはない)。

求薬

他のプレイヤーを一人選びます。選ばれたプレイヤーは、選ばれている色の組み合わせのうちどちらかの色を選び、その色のカードを全て渡します。

例:青/緑の組み合わせを選び、プレイヤーを指名した。指名されたプレイヤーは手札に青が2枚、緑が2枚あったので、青を選んで青を2枚渡した。

  • 指定された色の組み合わせのうち片方または両方の色を持っていない場合、そちらの色を選んで1枚もカードを渡さなくても構いません。
  • 同色の組み合わせの場合、渡す側が任意の色を一つ選び、その色のカードを全て渡します。選んだ色が何色であるかを公開する必要はありませんが、持っていない色を選ぶことはできません。

解薬(回答)

伏せられているカードの色の組み合わせを回答します。行動後回答したプレイヤーは裏になっているカードを自分にだけ見えるように確認し、回答が合っていればそれを公開してラウンド終了、間違っていればカードを戻して以後行動の権利を失います。

  • 以後の行動の権利を失うため、回答は1ラウンド中1回しかできません。
  • 同色の組み合わせは全ての色の同色の組み合わせを含みます。例えば青/青だと思って選んで正解が緑/緑だとしても、それは同色の組み合わせに含まれていますので正解となりラウンド終了になります。
  • 自分以外全てのプレイヤーが回答権を使ってラウンドが続行している場合、次の行動は強制的に回答になります。
  • 行動の権利を失ったプレイヤーも、以後他のプレイヤーの行動でカードの受け渡しを要求されたらそれに従わなければなりません。

さて、どうでしょう? 細かなルールについては一部解説していない部分もありますが、だいたいは以上の内容でこのゲームのロジック部分の理解は十分です。

裏になっているカードが何色であるかをいち早く当てるためには、情報を引き出しつつ、他のプレイヤーにそれを悟られない工夫も必要です。あなたならどうやって攻めますか?

総評

推理ジャンルとしては変わった題材を扱った、一風変わったゲームでした。

ゲームバランスはともかく非常に独特なフォーマットのゲームで、かなり頭を悩ませることになると思います。入手はやや困難ですが、ボドゲ専門店であれば今も店頭で販売している場所はありましたので、ぜひ挑戦してみてください。


当サイトはAmazonのアソシエイトとして運営されております。Amazonのアソシエイトとして、Bon appetit! artworksは適格販売により収入を得ています。