【ボドゲレビュー】Eresia (Domina Games) – 勉強、お茶会、たまに廃墟で秘密の鍵

美少女ファンタジー系イラストと独自の世界観で人気を博するボードゲーム制作集団、Domina Games。今回はそんな Domina Games から発売中のボードゲーム、Eresia(エレジア)をご紹介します。

もう持ってる人向けの必要以上に本気な攻略記事もこちらから。

どんなゲーム?

学生となり、真面目に勉強を積み重ねたりお茶会を楽しんだり人の足を引っ張ったり、時にはぬいぐるみの囁きに耳を傾けて禁断の知識に手を伸ばしたりしながら、いち早く成績を上げて卒業するゲームです。

  • プレイ人数:2~5人(3~5人推奨)
  • 対象年齢:8歳以上
  • プレイ時間:10~20分
  • 原作:Domina Games
  • 発表年:2020

チャートは当HP独自の採点基準により作成しています。
全体的に右に寄っているものほどパーティーゲーム向け、左に寄っているものほどじっくり考えるボドゲマニア向けです。

デザイン:めっちゃかわいくないですか?かわいいですよね?かわいい。

ルールの複雑さ:割と単純ながらも頭を使える、良バランスです。手番でできることの選択肢は多過ぎず少なすぎず、普段ボードゲームをやらないカジュアルなプレイヤーでもとっつきやすいです。

その他:持ち運びにも便利で場所を取らないサイズながら、展開するとしっかりボドゲやってる感のあるコンポーネント。とにかく見てくれが良い。
バランスを壊さずに3人、5人プレイに対応している希少なゲーム。

こんな人にオススメ

  • ゲームは見た目から入る人
  • 頭を使いたいけどガチガチなゲームは疲れるという人
  • ボドゲ初心者と熟練者が一緒に遊べるゲームを探している人
  • 3人で遊ぶゲームを探している人
  • 人狼が好きな人(人狼erは推理要素を見出していました)

プレイ風景

ボードは分割されたタイル状になっており、テーブル中央に広げて共通のボードとして使います。一人1枚ずつキャラクターカードを選び、対応する色のプレイヤーコマを「図書館」のマスに置いてゲームスタートです。

各自が4枚の手札を持ち、この効果を解決することで成績を得たり、盤面を移動したりします。手札は使うたびに山札から補充します。これを繰り返し、いち早く成績を10点まで上げるのが目的です。

Eresia@ボドゲ会風景。ややごちゃついてますが遊んでる時はこんなものです

学校に近い側のマスは堅実に成績を上げる地味なアクションが多く、安定感のあるプレイになります。逆に廃墟に近い側のマスは派手なアクションが多いですが、その分他のプレイヤーに学校で「密告」を受けると成績を下げられた上に手札を捨てなければならないリスクがあります。特に一番端にある廃墟では全ての成績点を一切無視して特殊勝利するアクションが存在し、一発逆転が狙えます。ここが各々のプレイスタイルの見せ所です。

本気攻略してみた。

以下、このゲームがあたかも大流行していて攻略wikiが作られているかのように書いてみたのコーナーです。用語もあまり手加減していません。

主要アーキタイプ解説

このゲームにおけるアーキタイプは、以下の3つに大別されます。

  • 優等生
  • 森ガール
  • ぬいぐるみダッシュ

上から順に各アーキタイプの基本的な動き方を解説します。

優等生

優等生は、盤面の学校側寄りで行動する戦略を取ります。1点カードで細かく点数を重ねつつ、必要に応じて密告を繰り出して他者の妨害、特に鍵勝利の妨害に徹します。戦略としては一見真っ当そうですが、密告による手札破壊が直接勝利に結びつきづらいため、勝ち筋が細いのが難点です。一方でほとんど禁止カードに頼らないため、逆に上手くハマれば相手の妨害をほとんど受け付けないという独特の利点があります。

キームーブ:駆け足、密告(学校)

優等生の行動は対戦相手の動きに大きく依存しますが、基本的には駆け足を握りつつ、常時学校をリーチに含めた、あるいは含めているように見える動きをしましょう。これによりアンフェアなプレイを大きく牽制することになります。学校から街までの範囲は1枚目を計画に回し、2枚目以降で点を稼ぐ動きになります。この戦略で森側に踏み込むことはまずありませんので、特に金のリンゴなどは街で非公開情報として捨て札に埋めてしまうのが良いでしょう。これは得点源を秘密裏に削るため情報アドバンテージにもなります。

密告には大きく2つの目的があります。1つは言わずもがな相手の手持ちの鍵やぬいぐるみを落とすこと、もう1つはあまり自明ではありませんが、主に森ガールに対して金のリンゴ狙いの大規模手札破壊を打ち、キルターンを大きく減速させることです。この場合、鍵を持たれていると強制的に図書館に連れ戻してしまうため、即座に手札枚数を回復されない鍵なしのパターンがより望ましいこともあります。

森ガール

森ガールは、金のリンゴを中心とした高得点カードにより速やかに成績を上げることを主眼とした戦略を取ります。妨害の受けにくさと打点の高さが強みで、最も安定感の高い戦略と呼べるでしょう。鍵による特殊勝利を野放しにしてしまうのが大きな欠点です。

キームーブ:金のリンゴ、お茶会

原則、図書館~森の範囲で1枚目を計画し、2枚目以降で点数を積みましょう。鍵を引いてしまったり、押し付けられたりしてしまった場合、安全に街で捨てておく手段もありますが、状況が許すなら森で点数を積むような動きをしつつ、ぬいぐるみで廃墟に駆け込んで3点としてしまうのが極めて強力です。優等生としては基本的に点数で戦いを挑もうとしているプレイヤーを密告の対象にするのは得策ではないので、この動きは見逃されやすく、大きなリターンがあります。

ぬいぐるみダッシュ

ぬいぐるみダッシュは、鍵による特殊勝利を狙います。密告に極めて弱い戦略で、森で立ち止まる中途半端な動きは咎められやすいです。そのため、手札にぬいぐるみ×2枚と鍵を揃えて、街から1手番で強引に廃墟まで盗塁を決めることが求められます。通常の得点は密告による減点で相殺されがちなので、基本的には細かい点数はすべて無視して全力で盗塁に向かうのがベストになりやすく、プレイの難易度としてはやさしめです。展開と運次第ではどんな状況も一発でひっくり返す爆発力が売りになります。

キームーブ:ぬいぐるみ、鍵

この戦略は盗塁を2回決めなければいけない=手札にぬいぐるみ×2枚と鍵が揃っている状況を2回作らなければならないため、初手が重要です。初手にコンボパーツ、特に2枚要求されるぬいぐるみが入っていれば、この戦略が通る確率は格段に上がります。

初手は図書館の1枚ドローから入り、とにかく手札を蓄えましょう。街で交換する枚数が多ければ、当たりを引く確率もその分増えます(いわゆる街ガチャ)。この戦略を取る場合に限った話ではないですが、山札切れを捨て札で再構築するタイミングに気を配りましょう。使われたぬいぐるみや捨てられた鍵を取り戻すには絶好のチャンスです。

手札が揃わなくても、諦めることはありません。最後の悪あがきとして、ぬいぐるみ2枚、もしくはぬいぐるみ1枚と鍵1枚から強行出発して道中で残りのコンボパーツを引き込むのに期待する運用も可能です。盗塁王の称号を手に入れるべく、全力で走りましょう。

アーキタイプの相性

これらのアーキタイプの間にはやや弱い3すくみの関係が成立しています。
基本的には、優等生<森ガール<ぬいぐるみダッシュ≦優等生、という強弱関係です。

優等生vs森ガール

森ガールが圧倒的に有利な展開です。優等生の勝ち筋としては、森ガールが森で止まった隙に密告を打ち、大規模手札破壊に持ち込むぐらいしかありませんが、先述の通り密告が得点につながらない動きのため、あまり喜ばしくはありません。優等生としては基本的には避けたい展開です。

森ガールvsぬいぐるみダッシュ

ぬいぐるみダッシュにとっては非常に楽なゲーム展開になります。特に森ガール自身を含めた全員が密告の範囲外まで踏み込んだ場合、ぬいぐるみダッシュは鍵を保持したまま廃墟で立ち止まるという通常許されない動きが正当化されてしまうため、森ガールは常に気を配っておく必要があります。他方、ぬいぐるみダッシュが街ガチャに失敗し続けた場合、単純なキルターンで森ガールに上回られると手の打ちようがなくなるケースも存在します。

ぬいぐるみダッシュvs優等生

優等生に有利、と言いたいところなのですが、相性はほぼ五分であるか、せいぜいわずかに優等生有利、という程度です。ただし、ぬいぐるみダッシュにとっては優等生が存在するということ自体がこれ以上ないくらいやりにくい展開です。3人以上のプレイでこの戦略同士のマッチアップが表面化する場合、大概は妨害を受けない第三者の勝利に終わるでしょう。こうした状況では互いにキングメーカーとしての立場をちらつかせつつ、相手を出し抜くチャンスをものにすることが必要です。

もっとこのゲームを楽しむために

ゲームバランスのための創作バリアント(応用ルール)

自殺密告

プレイヤーは学校で密告の行動を選択した時、密告対象として自分を選択してもよい。そうしたなら、プレイヤーは自分の手札を全て公開し、禁止カードを全て捨て、さらに鍵が含まれていたなら成績を1点上げる。その後図書館に移動して手番を終了する。
※このとき、成績の+2点と-1点は同時に行われる。既に成績が8点の場合でも、瞬間的に10点に到達することはない。逆に成績が0点の時にこの行動を行っても、-1点から処理して2点加算とすることはできない。

フレーバー的には拾得した鍵を自発的に届けに行くイメージ。

このゲームを実際にプレイしてみるとわかることですが、優等生戦略を取ったプレイヤーは、鍵を能動的に処理する手段に乏しいです。街や森を積極的に活用できないため、学校か図書館にいる際にすり替えで鍵を押し付けられると自発的にそれを捨てることができず、その状態で密告されるとただでさえ苦しい戦略が一層苦しくなってしまいます。優等生のはずなのに!

また、戦略にかかわらず、初手で最終手番のプレイヤーに鍵をすり替えて学校へ移動するという動きも凶悪です。すり替えかぬいぐるみがなければ密告成功が確定してしまい、避ける手段はほとんどありません。このゲームは遅い手番のプレイヤーを救済する措置は一切ないため、かなり不平等な展開です。

自殺密告はこれらの避けようのない展開を回避するための手段です。

密告の失敗

他のプレイヤーを密告した際、そのプレイヤーが禁止カードを1枚も持っていなかった場合、密告したプレイヤーの成績を1点減点する。

密告にはペナルティが課されていませんが、戦略の偏り方次第ではそのあと密告を打ち続けているだけで決着がついてしまうパターンがあります(森ガール戦略のプレイヤーがおらず、優等生がぬいぐるみダッシュをほぼ完封して成績に決定的な差がついている場合)。密告が失敗することは滅多にありませんが、ここにペナルティを設けておくのはフレーバー的には良いと思います。ただし、1回の密告失敗が致命傷になるため、採用にはやや慎重になるべきかもしれません。

総評

今回は私イチオシのボードゲーム、Eresiaをご紹介しました。誰にでもとっつきやすい世界観とスピード感のあるゲーム性で人気のゲームです。文句なしでおすすめ!

最近は親しい仲なら集まって遊べそうな雰囲気にもなってきたので、これを機に我が家の積みボドゲをガンガン回していきたいと思っています(スツール5つ分あります……)。まだまだレビューしたいボドゲがいっぱいありますし、新作を楽しみにしているメーカーもありますしね。

それでは、良いボドゲライフを!


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