【観戦記】君は「台」一文字で「ダイ」と読まない名字を知っているか【インターネット麻雀日本選手権2022 プロ予選C卓】

最終更新日が2023年以前の記事です。レイアウト変更のため、正常に表示されない場合があります。

Mリーグも早いものでもう発足して4年目になり、「麻雀」「プロ雀士」という文字列を見る頻度は日に日に増えているように感じます。私は趣味で麻雀を打っていました(今でもときどき打ちますがかつてほどの頻度と熱量はありません)が、その頃より多くの人に麻雀そのものが受け入れられるようになってきたなという感覚があります。

私の昔からの友人に、趣味が高じて数年前からプロ雀士をやっている人がいます。先日、「大会の出場権を得た(ざっくり訳)」という連絡を受けました。ワシが育てた……とは言いませんが、知っている人がプロレベルの麻雀の大会に出てくる、というのはいつでもわくわくするものです。

ということで、今回はインターネット麻雀日本選手権2022プロ予選を観戦(応援)したレポートです。

対局前情報

今回観戦したのはインターネット麻雀日本選手権2022プロ予選のC卓です。局をリアルタイム観戦し、気になった点を終了後に本人も交えて軽く検討しました。

対局者

桶本 篤史プロ

twitter: @okeoke0211

  • プロ四段
  • 連盟25期生
  • 鳳凰位戦 D2 リーグ所属
立直率23.65%
副露率28.57%
和了率24.00%
平均和了点6,376点
放銃率13.70%
平均放銃点5,429点
平均順位2.28位
データは2022.3.15時点、ロン2直近100戦

立直率が高く、打点型の雰囲気です。平着2.2台でバランスの取れた優秀な成績です。

大橋 幸正プロ

twitter: @kousei_o0911

  • プロ四段
  • 連盟33期生
  • 第36回静岡リーグ優勝、第31期新人王戦準優勝、麻雀最強戦2017全日本プロ代表決定戦ベスト8
  • 整体師(!?)
立直率22.31%
副露率36.31%
和了率25.97%
平均和了点5,019点
放銃率11.10%
平均放銃点5,119点
平均順位2.39位
データは2022.3.15時点、ロン2直近100戦

プロ雀士でありながら整体師でもあるという異色の経歴に目を引かれます。大会でも定期的に結果を残している実力派のようです。

立直や仕掛けを多用しつつ放銃率が低く、数字だけ見るとかなり期待の持てる戦績です。平均和了点がとても低い。直近100戦の平着は2.39ですが、普段はもっと低い(強い)のでは?

私は割とこのタイプに近いのでなんとなく雰囲気でそんな気がするだけなのですが、ブラフの仕掛けが必要以上に効いてしまうタイプの打ち手な気がします。

台 直輝プロ

twitter: @utena_renmei

  • プロ初段
  • 連盟36期生
  • 「うてな」なおき(「だい」ではない)
立直率20.48%
副露率30.39%
和了率22.94%
平均和了点6,553点
放銃率13.75%
平均放銃点5,361点
平均順位2.38位
データは2022.3.15時点、ロン2 年間成績

いや、苗字が読めねえのよ。目立つけど。皆さんぜひこの機会に覚えていってください。うてなです。

赤アリかと錯覚するほどの高打点メーカーであり、私がこの記事を書いている理由です。

この記事の牌譜は台プロ視点でお送りします。

津島 萌唯プロ

twitter: @jpmlmeimei

  • プロ初段
  • 連盟38期生
  • 現役大学生
  • 本大会がデビュー戦

※ロン2直近100戦の成績はデータ不足につき掲載しません

プロ入りしたばかり、19歳の期待のホープです。どんな打ち筋を披露するのかは未知数です。ちなみに私は名前だけ見て女性かなと思ったのですが、男性です。萌唯と書いて「めい」と読むそうです。繰り返しますが、男性です。

ルール

ロン2 競技ルールC(クリックで公式サイトへ)

  • 30000点持ち、30000点返し
  • 順位点 +150, +50, -50, -150
  • アリアリ、飛びなし、アガリやめなし
  • 現物でない牌の喰い変えあり
  • その他詳細は公式サイト参照
  • 半荘2回戦、トータルポイント上位2名が勝ち上がり

対局

※台プロ視点で、気になった打牌についてだけピックアップしています。尺の都合で全部は拾いきれていません。

開局早々、500オールと子の満貫を立て続けにツモられ、迎えた親番。

白が暗刻で両面×2のイーシャンテン。これは軽くアガって流れを引き戻せるか、と思いつつ見ていたら、上家から打たれるチーテンを2回見送り。ドラが見えない危ない局面なので、私はすぐ仕掛けてこの局を終わらせに行きたくなるところですが、この辺りに打点型らしさというかある種のプロらしさが見えます。

しかし13巡目にしっかりメンゼン聴牌を入れてリーチ。……したものの、

対面の大橋プロが対々和三暗刻ドラ3の跳満をツモり、3000-6000の親被りを食らってしまいます。見えないドラの懸念が的中してしまいました。これは痛い。

次の局で、転機になる局面が巡ってきます。

ものすごく時間をかけてやっと平和のイーシャンテンになったところで、数巡前に切った8mをツモり直して、台プロは長考します。へえ、ここで考えるんだ、というのがこの時の正直な感想でした。

考えている意味は分かります。要するに1-4s持ってきて3mか3s単騎になってからごちゃごちゃしてもどうせあがれないから、7m持ってきて平和になるのに期待して2sを切りたいと。

皆さんはどうしますか?

ちなみに私は打8mとします。6mも7mもまあいなさそうなのと、巡目が遅くそもそも既にアガリの可能性を追う局面ではないと見て、1-4sでチーテンの可能性を残しておきたいからです。

台プロ、結局この8mをツモ切り。どうせ7mなんかおらんよ、と思って見ていたら、

おるんかい。

そんでツモるんかい。

しっかりアガリ逃しになるんかい。

ちょっと笑っちゃいましたよね。でもそうなるとあの8mを悩んでいたこと自体がえらいです。

この手は最後のツモで5mを持ってきて、なんとか聴牌は取れました。と思っていたら、

上家の津島プロから河底で出てしまいました。この1mはうっかりでしょう(完全安牌はありませんが、単騎しかない打1sが一番安全です)が、ラッキー。

2枚切れの1pを重ねて4対子になった局面。なんか不調の時に見たらいかにも嫌になる手です。私はとりあえず仕掛けられる純チャンが遠くに見えるので手拍子で6sを切るんですが、台プロはここで打9m。

それで次のツモが6s。実は彼、七対子がめちゃくちゃ得意(そして私はかなり苦手)。もう私にはわからない領域に入ってきました。さらに次巡2mを入れて2p単騎リーチを打つと、

親の平和ドラドラのかなりやばい手に追っかけられつつ、これをしっかりツモり上げて点数を戻しました。ちなみにこの2pはリーチした時点で山に500枚ぐらいいそう(算数が苦手)ですが、実際は2pは2枚山、1sは3枚山でした。でも1s単騎は最後まで一枚も姿を見せなかったので、あがれていたかどうかは不明です。いわく「アガれない3山よりアガれる2山」だそうです。わからん。

直後の局、好配牌がやってきます。ドラは西。

しっかり西を重ねてメンゼンで聴牌。

直前で566888m11789s西西に8sを持ってきて、対子手を見るかあくまで面子手にこだわるかの選択があり、8sを切っていれば4-7mの両面にも取れましたが、1sを持ってきて6m西のツモり三暗刻でリーチしました。

親でドラドラなので確実にあがりたい気持ちはあるかもしれませんが、ここは私も4-7mの両面を捨てると思います。全員の一段目の切り出しが端牌ばかりで全体的に中に寄せたがっている雰囲気なので、見た目ほど4-7mがないように思われたこと、同じ理由で9sがめちゃくちゃいそうなことが主な理由です。西をツモれば6000オールからで大勢が決するのも大きいです。

実際は4-7mめちゃくちゃいたんですけどね。うーん、ハズレ。そもそも5m周りを誰も持っていないという(たぶん)レアケースでした。一方9sはちゃんと2枚いたようですが、7sは空なのでそれはそれで厳しかったのかも。

8mを暗槓し、5mが全部、7mも3枚見えて、困った人から6mが出るかなあと思っていたら、対面の大橋プロが打ちました。

個人的にはまだイーシャンテンで浮き牌全部そこそこ危険なら無理に押すこともなかったかなと思います。特に対面の視点ではドラが見えてないですしね。

そんなこんなでこの得点を守り切り、台プロは半荘1回戦をトップで折り返します。

2回戦目、問題の局面がこれ。下にスクロールする前にちょっと考えてみてください。

皆さんはどうしますか?

台プロはこの局面で長考の末に中を切り、局後これはやはりよくなかったと振り返っていました。アマチュアはほ~いって切りそうですけどね。

長考していたのは上家の捨て牌が怪しく、大三元をケアしていたからとのこと。かといって他に切る牌はドラやらなんやらなので、対局中は結局そうなってしまったとのことでした。

実際この懸念は当たっていたようで、發じゃなくて良かったねとしか言いようがない手形になっていました。

これが仲間内で打っているとか、フリー雀荘で打っているとかのレベルであれば別に中を一枚ほ~いって切り飛ばしてポンって言われるのは日常茶飯事かもしれませんが、この半荘の結果で全てが決まる局面で、特に前の半荘の優位を守り切ればいいだけの立場の人は絶対に三元牌を切ってはいけませんでした。助かってよかったです。

オーラスはすごくギリギリの点差でしたが、これを守り切りました。

最後、この5pの行方が明暗を分けました。(上家の大橋プロは5p待ち、対面の桶本プロは聴牌なら勝ち上がり)

最終結果

1回戦2回戦トータル
桶本 篤史プロ+80+143+223
台 直輝プロ+281△62+219
大橋 幸正プロ△118+325+207
津島 萌唯プロ△243△406△649

1位から3位がわずか16ポイントという大接戦を制したのは、桶本 篤史プロ&台 直輝プロでした!勝ち上がりおめでとうございます!

次戦は4月以降とのことなので、また観戦する時間が取れたらいいなと思います。

※2022.3.16 一部加筆及び訂正を行いました。