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麻雀最強戦2022×Mリーグ スペシャルマッチにて、岡田紗佳プロが国士無双十三面待ちを和了ったことが話題になっています。
なんか寝て起きたらやけにtwitterが盛り上がってたので、なんだなんだ、役満一発ぐらいで大げさな……と思っていたらまさかのフリテンなし純正十三面だったと知り、なるほどそれはたしかにヤバイな、と。実況も「もう二度と実況することはないかもしれない」と言っているぐらいの出現率です。
映像に残っているプロ対局で国士無双十三面待ちが出現したのはおそらくこれが3回目です。初出はこちらもMリーガーの沢崎誠プロ。こちらはフリテンでした。
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役満ってリーチした方がいいの?
もしかすると、見ていた方の中にはこんな疑問を抱いた方もいるかもしれません。
「そもそもリーチしてもしなくても打点は同じなのにリーチする意味あるの?」というのはごもっともな疑問です。実際、多くの役満はリーチの必要がありませんが、場合によってはリーチした方が良い役満もあります。
状況を分けて見ていきましょう。
国士無双
普通の国士無双(1面待ち)の場合、リーチしたことによって打点は変化せず、他家に警戒されてしまうだけなので、ほとんどの場合リーチは不要です。
中には例外もあります。以下は前原雄大プロが發待ちの国士無双をリーチした例です。
通常、国士無双に向かう場合は中張牌(2~8)から切り出していって、19字牌が余ってきて聴牌、みたいなケースが多いのですが、このリーチは比較的早い巡目、余り無しの国士無双聴牌なので、どんな手が入っているのかを推測するのが難しい状況です(実際には国士無双聴牌なわけですが、同じ理屈で余りなしの混一色なんかが入っていることだってありますし、七対子などの可能性もあるでしょう)。また他の3人もそれなりに手が進んでいることが捨て牌からも察知でき、まっすぐ進めてもらうのはあまりうれしくない状況です。こういったケースでは發はそれなりに警戒される牌ではありますが、リーチを打つことも考えられます。
国士無双十三面待ち
この場合は結論が180度変わり、明確にリーチすべきになります。
これほど待ちが広いと、リーチしてもしなくてもアガリ率がそれほど変わりません。他家にうっかりあがられてしまう方がマズいので、対応して降りてもらうか回り道してもらう方がありがたいのです。フリテンならどのみち出アガリが効かないのでなおさら、ほぼ100%リーチです。上記の沢崎プロのフリテンリーチもすごい圧ですよね。「来るなよ」と。
ちなみに、仮に残りツモ番6回で、山に15枚アガリ牌が残っているとする時(国士無双十三面待ちならだいたいこんなもんだと思いますが)、それを流局までにツモれない確率は
$$(1-\frac{15}{6\times4+13})^6\approx0.045$$
……ということで、5%未満です。実際には他家が一枚も19字牌を切らずに6巡凌ぐことはほとんど考えられないので、アガれない確率はさらに下がります。
ただし、これにもごくわずかな例外は存在します。国士無双十三面待ちをダマテンにすべき状況は確かに存在します。
残り3巡未満でフリテンなしの聴牌をしてしまった時です。
こうなってくると自力でツモれない可能性が現実味を帯びてくるので、多少リスクを負ってでも他家からこぼれるのを期待した方が良くなります。
特に最終盤のリーチに対してはほとんどの場合完全に押すか完全に降りるかが決まってしまっており、中途半端な押しはされないのが普通です。リーチを打つと、どうせ聴牌が取れない人には100%安牌を切られて凌がれてしまいます。
四暗刻
ダマでどれだけの打点があるか、によります。着順状況など細かいことを考えるのが苦手であれば、ダマで跳満あるならダマでも良い、ダマ満貫(対々和三暗刻+1翻まで)はリーチ、と覚えておけばいいでしょう。
四暗刻をリーチするのは、「リーチすることによって自力でツモるための時間を稼ぐ」という意味合いが強いです。他家に降りてもらって、願わくば流局までにツモれる牌は全部ツモってみたい、ということですね。ツモると打点は4倍(8000→32000)ですから、満貫程度では無意味に出アガリしたくないというのが本音です。
また、やむなく出アガリした時に、裏ドラに期待できるというのも大きいです。裏が乗るなら最低2枚、ほとんどの場合は3枚乗るので、リーチ対々和三暗刻……裏3で一気に倍満になります。他のほとんどの役満と違い、リーチした時に打点の変化があるのでこれもリーチする理由に繋がります。
四暗刻単騎待ち
こちらはリーチしてもしなくても役満確定なので、国士無双の発想と同じで基本的にはダマが良いです。リーチすべき場面もほとんどありません。
安目がある四暗刻
これは難しいトピックです。
三萬、四萬であがれば四暗刻ですが、二萬はツモ一盃口、五萬に至ってはツモのみです。
この場合、原則として五萬ではあがらず、ツモってもそのままツモ切りします(ついでにフリテンリーチします)。これでアガリ率が20%を切っていたとしてもなおフリテンリーチ優位です。さらにリーチした状態で五萬をツモっても、残り巡目が十分なら見逃しが肯定されます(他にドラがあって打点がある場合はあがる)。のみ手と役満ではそれくらい打点の差が大きすぎるのです。
特にネット麻雀の場合、こういった聴牌をしている時は自動和了を外すのを忘れないようにしましょう!
この例では八萬は四暗刻単騎、七萬はツモ三暗刻の6400点です。
七萬を出和了るのはさすがにやめた方が良いでしょう。出アガリ3200点ではとても勝負になりません。問題は七萬をツモった時です。
これについてはケースバイケースで、はっきりとした結論を出すことができません。序盤ならとりあえず待ち変えをする余裕があるのでそうして、巡目が遅くなったらアガる、ということになります。
もし四暗刻単騎がシングル役満(32000点)なのであれば、中盤以降ではもうあがってしまっても問題はないと思います。一方で四暗刻単騎をダブル役満(64000点)扱いしているのであれば、打八萬として待ち変えをしてやり直すのが良いと思います。
結論
- 待ちが異常に広い役満(国士無双十三面待ち、純正九連宝燈)はリーチ
- ダマで安い四暗刻はリーチ
- ド安目は遅い巡目でなければ見逃す、ツモらない、フリテンリーチも辞さない
ぜいたくな悩みですが、実戦で出くわしたらとりあえずこんな感じで対処するのが良いでしょう。
【おまけ】取り決めしていないダブル役満をあがったらどうする?
友人同士で集まって、軽くルールを取り決めていざ麻雀を始めたら、ダブル役満がありかなしか決めてないのに字一色小四喜を聴牌しちゃった……そんな経験はあるでしょうか?
私は個人的にこれを2回ほど経験しています。1回は字一色大三元、もう1回は四暗刻単騎でした。どこからがダブル役満でどこからがそうでないのか、人によって意見が分かれるところでもあります。役満の複合は認めるが、四暗刻単騎はシングル役満として扱う、とかありますよね。チップを使っている場合は何枚なのかもわかりませんし。
かといって対局中にそんな質問をしようものなら、「お前ダブル役満張ってんのかよ!!」となること請け合いなので、まさかそんなことは聞けません。
こういう時の私流の対応をお教えしましょう。内緒ですよ。
あたかも最初から当然そうであったかのように申告すれば、たいていの場合はそういう雰囲気になって言った通りの点数がもらえます。人は信じられないほどでかい数字を聞くと脳内がお祭りになるので、テンションを上げるためにも一番アツい申告をしましょう。
外野に、いや役満の複合はなしで、って言われたら? ……諦めましょう。