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MTGのカード販売、大会運営などを行っている「晴れる屋」さんから、MTGのデッキ構築機能が正式リリースされました。
これは自分のデッキをインターネット上で登録し、公式HPやSNSを通して誰でも簡単に共有できるサービスなのですが、ブログを書いている人にとってはこんなメリットも。なんとそのままワンタッチでデッキを自分のブログに埋め込めてしまいます。
例えば以前投稿したマジックの記事のシールドデッキなんかもこの通り。
そのまま貼るだけでもレスポンシブ対応。PC, モバイルで分けて何かをする必要はありません。これはライターにはとてもありがたいですね。そして今、これを使って記事を書こう!というキャンペーンが開催されています。
これはあれか。
だらだらクソデッキの後継者を探しているという事か。
「だらだらクソデッキ」とは、あのSCZを世に排出した鬼才クソデッキビルダー、まつがんこと伊藤敦さんがマジック界のゼウスを目指すべく様々なデッキをくみ上げては実戦投入してぶち壊していく、昔の晴れる屋のコラムです。想像の斜め下から繰り出されるクソデッキ紹介は読み物としてとても面白かったのですが、全16回をもって連載終了。まあ組めるデッキの種類なんて限りがありますからね。
晴れる屋記事は全体的に真っ当な戦略記事や大会結果にシフトしており、長らくその後継は見当たりません(私が見つけられていないだけだったら教えてほしいのですが)。そして、ここにきて「誰かもっとMTG記事を書いてくれ」と言わんばかりのこのプロモーション。
この符合。(堂々丸パクリ)
とはいえ私自身のMTG歴もまだ浅く、どんなデッキでも漫画や昔話に結びつける発想力も、堂々と自分をゼウスと言い張る自信もないので、素直に思いついた通りにデッキを組み上げて素直に爆散してきたいと思います。
ただしデッキビルドはもちろん超本気です。コンセプトがぶち壊れているから弱いだけで。というわけで、
Contents
クソデッキの根本原理 は~じま~るよ~
MTG Arena に実装済みのセットを全て使えるフォーマット、ヒストリック。現在このフォーマットでは数多くの特殊勝利カードが使えますが、その中のひとつに《シミックの隆盛》というカードがあります。
このカード、簡単に言うとクリーチャーに+1/+1カウンターを20個乗せて耐えるのが勝利条件ですが、その状態で次の自分のアップキープまで耐えなければならないという下環境にあるまじき悠長さと、そもそもカウンターを20個も乗せられるならそれで殴ったほうが明らかに早いという構造的欠陥を抱えており、盤面の膠着しがちなリミテッドならともかく、構築シーンでは見かけることはありませんでした。
ですが特殊勝利と言えばだれもが一度は夢見る沼……ではなく森と島。カウンターぐらい20個でも100個でも用意してやろうではないかという気概もなければクソデッキなど生まれてきませんよね。
さて、ここで問題です。
現在ヒストリックで使用可能なカードのうち、現実的なゲームターンで単独でクリーチャーに最も多くの+1/+1カウンターを乗せられるカードは何でしょうか?
最近のカードを見返してみると、《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》は自分のパーマネントに乗るカウンターの数を2倍にできます。《龍護りの精鋭》は魔技でカウンターを乗せて起動型能力でそれを2倍にできます。ですがいずれも単体では特に仕事をしません(なお6/6速攻トランプル)。
さらにこんなすごいことが書いてあるカードも。《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》。脱出時に12個のカウンターを乗せてやってきます。普通に手札から唱えて、さらに墓地から唱えなおすと単体で18個ものカウンターを得ることが可能です。
しかし、これではあと2個足りません。100点満点で言うとこのカードは90点です。もっとグルーヴを感じられる、平均点100点超えのカードが存在しています。
《研究体》です。
一目見て、ああ、あの投げつけるためにある生物ね、とお思いでしょうが、《シミックの隆盛》が場に出ている状態でこれを唱えると6マナ20点以上はほぼ確定ですので1枚でゲームセットです。研究体とはそもそも投げつけるためではなく自己の知識欲を満たすために存在するもの。卒論の厚みで人を殴るより、内容の濃さで圧倒する方がきれいですよね。それと同じです。
ということで、今回は《シミックの隆盛》を《研究体》1枚でフィニッシュするコンボを考えたいと思います。
のしかかる制約
- コンボの準備が揃うまでに殴り切られない程度の序盤の堅さかコンボ完成までの速度を持ち、
- 《シミックの隆盛》と《研究体》をこの順番で確実に唱え、
- 勝利条件を満たした何の除去耐性もないエンチャントを1ターンの間守り切る
これらを全て満たさなければいけません。そんなことが可能なのでしょうか?
それでは、ソリューションをご覧ください。※サイドは組み切れなかったのでBO1です。
どうしてこんなことになってしまったのか
とりあえず必須パーツであるシミックの隆盛と研究体を脳死で4枚積みして回してみると、単体では何もしないシミックの隆盛、色拘束がきつく平時は手札のデッドスペースと化し、いざ唱えたら後隙120Fで反確みたいな6マナソーサリーの研究体がまあ邪魔なこと邪魔なこと。
このデカブツはもうちょっとなんとかならんのか。踏み倒しの金字塔こと《出現の根本原理》は単色カードしか対応してないしそもそも出現の根本原理使うくらいなら研究体なんか引っ張ってこないわ……とヒストリックリーガルな青緑のカードの海を漁っていたら、やはり回答はどこかにはあるものですね。
[-8]:あなたのライブラリーからこのプレインズウォーカーと共通の色を持ちインスタントかソーサリーであるカード1枚を探し、追放する。その後、ライブラリーを切り直す。あなたはそのカードを、マナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
《謎の賢者、カズミナ》
こいつだ。前から使ってみたかったんだよね
素晴らしいことに、これを用意することで《研究体》の枚数を削ることができる上、これを着地させて大マイナス Ready にしておくと、いつでもどこからでも
- 《シミックの隆盛》を唱える
- 大マイナス能力で《研究体》を呼び出しタダで唱える
- →何もないところからいきなりコンボ完成(そして何かを構えられるだけのマナが浮く)
というドッキリを仕掛けることができます。今のヒストリック環境で2Tに突然シミックの隆盛なんか置いたら「何かやってんなこいつ」と悟られること間違いなしでしょうが、これが出てきたターンに急にカウンターが20個以上乗ったら「何かやったなこいつ(負け)」で済みます。基本的にマジックは自分のやりたいことをやった人が勝つゲームですので、相手をびっくりさせることのアドバンテージは言うに及びませんね。
それ以前にカズミナの忠誠度が8まで上がった状態を見て「何かやってんなこいつ」って思わない方がどうかしているのですがそこはノータッチで
そしてカズミナと言えば当然こいつにもお呼びがかかります。緑青3マナPWにして初期忠誠度7とアホみたいな効率を誇る《ビヒモスを招く者、キオーラ》です。カズミナがいればただの3マナ7/7として運用することも可能です。あゝ柔軟。
このPWたちは+能力でライブラリを掘り返してコンボパーツ(隆盛)を探し出すという重要な役割も担えますが、その代償に自分を守るという発想がまるでないので、優秀な壁役を用意してやる必要があります。その点緑には《花の壁》という素晴らしいサポーターがいます。2マナ0/4キャントリップでターンも噛み合い、手札を減らさずに序盤を耐えるだけの最低限の壁を用意してくれます。
さて、残る問題ですが、これだけの下準備をしてコンボを完成させても、相手にはエンチャントをぶち壊すかそのターン中に殴り切るという1ターンの猶予があります。エンチャントデッキと言えば《真の木立ち》という鉄壁のガードがありますが、これのために白をタッチするのはちょっと本気すぎてダサいしこんなことのためにレアのワイルドカード4枚も切れない色拘束が心配です。
ここは何とか緑と青できれいに仕上げたいところ。すると、ありました。エンチャントを守りつつ殴り切られるリスクにも対応する、両面待ちを見事に実現するカードが。
《幽体の敵対者》です。
ルールをおさらいしておきますが、フェイズアウトしたパーマネントは次のターンのアンタップステップにフェイズインします。そしてアップキープステップはアンタップステップの後です。これが何を意味するかというと、幽体の敵対者が勝利条件を満たしたシミックの隆盛を能力の対象にとってフェイズアウトさせると、次のアップキープステップの前にぴったりカウンターを乗せたままの状態で帰ってくるのでちゃんと即時勝利することができます。呪禁や破壊不能と違ってパーマネント自体をそもそも戦場にないことにしますし、明滅と違ってカウンターの状態も引き継げますので、防御法としてはこれ以上ない堅さです。
ついでに飛行持ちクリーチャーが付いてくるので殴り切られるリスクにも対応しており、申し分ありません。
準備は完璧! ヒストリック環境に新たな風を!
実戦投入
クソデッキ、無事解体する。
BO1ですら勝てない紙束のことはデッキとは呼ばないんですよ。問題点は明らかで、初手のキープ基準が控えめに言ってカスであることと、およそ一般的なヒストリック環境のゲームスピードについていけてないことです。横に並んだアグロに対して壁の1枚や2枚立っていた程度ではどうにもならん。
現状、このデッキの理想的な滑り出しはこうです:
- 2T 花の壁 or 成長のらせん
- 3T 謎の賢者、カズミナ
おっそ。
3Tにやる行動が「占術1」は遅すぎるにもほどがある。結局のところこれは不確実な「(1)(青)(緑)不確定待機4の研究体」を唱えているのとほぼ同義なので、これは素直にランプして研究体を唱えに行った方が確実なのではと思えるような遅さ。
じゃあ出現の根本原理型にすればよいのでは? 黒の単体除去とか全体除去とか使えるようになるし、8マナまで全力でランプして、せーので隆盛研究体やって相手が何もできないことに賭けるのがいいんじゃね?
だったら出現の根本原理を使うよね~~~
~ Fin. ~
懺悔
その後やっぱりシミックカラーにこだわってちゃだめだろう、ということでごちゃごちゃやって行き着いた先がこれ。やっぱり除去はちゃんと取らなきゃ。
……あれ? 研究体どっか行ったぞ?
なお勝ち筋のほとんどはニッサ(それはそう)。ちなみにニッサのプラス能力が隆盛と微シナジーするような気がしないでもないですが、「土地に」カウンターを置いてからクリーチャー化する都合上まったく意味がないです。残念。
ワイルドカードが足りず使えなかったカードたち
いやまああれ使えよこれ使えよは色々あると思うのですが理由は全て「資産がない」に尽きるので、ここで供養の意味も込めていくらか挙げておきます。興味がある人は試してみてね。
- 《八百長試合》
- 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》
- 《生皮収集家》
- 《オゾリス》
- 《エインシャント・ブロンズ・ドラゴン》
まあなんというか、どれもこれも使うなら殴り倒した方が早そうだし、何よりそのプランなら研究体が要らないみたいなカードばっかり。八百長試合だけは何とかできそうな気がしないでもないけど……。
終章 ~懇願~
今回の晴れる屋さんのキャンペーンですが、なんと「団結のドミナリア」セット・ブースターが箱でもらえるそうです。まじかよ。
以前の記事にも書きましたが私は紙のマジックはほぼやったことがなく、手持ちも一切ありません。もし当選しちゃったらとりあえず以前ダブルマスターズ2022を開封させてくれた方をはじめ知ってる範囲のマジックプレイヤーを集めて、一発ドラフトをやろうと思います(当たり前ですが基本土地を持ってないのでそうしないとドラフトができないんですよね)。だから心当たりのある方は応援してください(懇願)。
これを機に紙のマジックを始められるかもしれません。抽選って言ってるけど、ね? 紙マジックのプレイヤーを一人でも増やすと思って……ね? だめですか?(チラッチラッ
※Vol.1 って付けましたが地味に結構大変だったので続くかはわかりません。好評なら次回もやります。