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リリアナ許すまじ。
あっ、どうも。全世界80億人のMTGファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。
団結のドミナリア、ものすごい黒環境ですね。
スタンダードで強いデッキというのは、大体低マナ域からして対処を強要してくるパワーカードが多いです。1マナ域はさすがにやり過ぎですが、2マナ域のアクションに対応できなければそのままずるずると劣勢を拡大して負け、みたいなことが平気で起こります。しかもこれが仮に最速で出てこなくても、例えば5ターン目にパッと出てきた2マナのクリーチャーにやられることだってあるのです。前環境の《光輝王の野心家》に手を焼いた人は多いでしょう。
《ヴェールのリリアナ》の強さも、やはり対処を強要するレベルのプレインズウォーカーがたったの3マナで出てくるというのが大きいわけです。今のスタンダードでは、3ターン目リリアナに対して無防備なデッキは存在を許されていません。
つまり、環境に存在する2マナと3マナのムーブを確実に止めることが出来れば、そのデッキはまあまあ戦えるデッキになりそうだと言うことができます。
今の環境を見て、クソデッカーは考えるわけです。《ヴェールのリリアナ》の着地を許さないためには何をすればいいのかと。もっと言うと、2マナ3マナのアクションを全否定するためには何をすればいいのかと。
黒は使いたくない
これは別にデッキ構築の前提でもなんでもないのですが、今回のデッキでは黒を使わない方針にします。
最大手の黒に対抗するために黒を使うんじゃ、血を以て血を洗うみたいな感じであまり面白くないんですよね。
即破壊<打ち消し<???
さて、早速戦場に出ようとしているプレインズウォーカーの対処法を考えていきましょう。今回相手にしているのは3マナのPWなので、あまり重いアクション(次元の浄化系やコントロール奪取など)はなしです。最速で仕留めることを考えます。
まず考えられるのは、即座に破壊すること。これは白、黒がやれそうです。
赤も火力で焼くことができますが、2マナでPWに確実に4点飛ばせる手段はないので、白と黒には劣ります。それでもまあ一考の価値ありですが。
しかしこれらのアクションは[-2]能力から入られたリリアナに対しては1:2交換なので、基本的には損です。
次に返しのターンで速攻で仕留めればいいじゃないか、という発想。前回も紹介した《ヤヴィマヤの偶像破壊者》です。(1)(赤)(緑)4/3速攻なので、何も立ってなければ確実に仕留められます。
が、何も立ってなければ、なのです。何か立ってたらおしまいです。組み合わせる色が赤というのもまたまずく、仕留め損なったが最後ずるずるとハンデスされつつ忠誠度を稼がれてしまいます。
じゃあもう着地させなきゃいいじゃん、ということで青の打ち消しの出番です。これならだいたい1:1交換で確実に着地を防ぐことができます。幸い、打ち消しについてはそれなりに優秀な選択肢が揃っています。
ただこのアプローチを取るのは、黒相手に長期戦を挑まなければならないという意味でもあります。現環境の黒はミッドレンジの王様。放置するだけで敗北につながる《黙示録、シェオルドレッド》を筆頭に、長期戦にお誂え向きのカードが多いです。対して青は《船砕きの怪物》をローテーションで失ったばかりで、今のところこれといって適切なフィニッシャーがないように見えます。特に除去に長ける黒相手ではそれが顕著です。
ハンデス? 黒なので今回はナシです。
実は、現スタンダードには、打ち消しより強力な手段が存在します。
突然ですが、このカードの裏面になんて書いてあるか、わかりますか?
おそらく大半の人が「見たことねえ」カードだと思います。でもこれスタンダードリーガルなんですよ。そう、【神河:輝ける世界】のカスレアです。Ⅰ章でクリーチャーかPW限定のバウンス、2章で1ドローと、表面でやっていることを見ると重く遅く狭くなった《ゼロ除算》です。こんなん誰も使わんて。
実はこのカードの裏面にはこんなことが書いてあります。
唱えられない……だと……?
そう、これが環境最強の封じ込め。そもそも唱えられなければ、手札に何を抱えていようが出てくることはありません。相手が2マナを唱えたがっていればこちらから2マナ。3マナを唱えたがっていればこちらから3マナ。カメレオンの如く手を変え品を変え、相手のアクションを全て封殺することができるのです。
今回やりたいのは、この《生けるひらめき》で低マナ域のアクションを全て封じること。高マナ域の重いアクションに対しては、それこそ打ち消しが刺さります。まさに完璧なプラン。
それではご覧ください。ひらめきロック、もといカメレオンロックです。
どうしてこんなことになってしまったのか
低マナ域のアクションを全て封殺するために1~4マナのカードを網羅し、さらに最低限長期戦に耐えるため、《発明的反復》が裏返るまでの時間はしっかり稼がなければなりません。
そこでまず1マナ域からは雑なバウンス(本当に雑)。
さらに1枚で2度おいしいフラッシュバック呪文。
墓地に落ちてもアドバンテージを失わないのでガンガン捨てていけますし、ハンデスにも耐性が付きます。ライフゲインもついているのでアグロにも多少耐えます。えらい。
普通なら効率の悪い踏み倒しにしかならないこのカード、このデッキでは1枚で呪文を2回唱えられるため輝きます。たった3マナで2マナと3マナのアクションを両方封殺できる可能性があります。
同じく《第三の道の創設》。墓地から再利用が可能で攻め手(?)が途切れません。他に誰が使うんだろうこんなクソカードって思ってたんだけどパイオニアで活躍中らしくシングルカード価格が意外と高くてびっくり。
4マナ域は定番《放浪皇》。攻めにも守りにもこれ一枚の万能選手です。特殊アートの放浪皇はかわいい。
しかし、ただロックしているだけでは勝てません。肝心のフィニッシャーが必要です。《放浪皇》だけではちょっと心もとないですよね。そこで、こいつの出番です。
《信仰縛りの審判官》。
序盤は3マナ域でありながら頼もしい壁として機能しつつ、放置すれば《セラの天使》相当のアタッカーに変貌します。さらに除去されてもただでは起き上がりません。なんと特殊敗北の呪いになって相手に張り付きます。黒相手にこれを張れれば勝ったようなものです。黒を相手するならとりあえずエンチャよ。
ちなみに普段あまり気にしないマナ総量という概念にフィーチャーしたデッキなのでプレイングにはご注意を。フラッシュバックや降霊で唱えた呪文のマナ総量は、元のカードのマナ総量に等しいです。たとえば《信仰の繕い》をフラッシュバックで唱えるのには3マナかかりますが、この呪文のマナ総量は2のままです。3マナをロックするつもりで唱えたらロックできてなかった、みたいなことにならないよう注意。
実戦投入
※ここからは ♪カメレオン/King Gnu を脳内再生しながらお楽しみください。
♪突き止めたい 叶わない 君のマナ域は 迷宮入りの難解なミステリー
♪章変わり 裏返り 軽やかに姿を変えたのは
♪悲しいほどの3/3
♪…僕の知らない君(ら)は誰?
♪何度でも何度でも塗り潰して 汚れた悲しみの
♪上から 白い絵具(審判官)で
♪全てを台無しにして
♪放り出してしまった(諦め)
反省編
クソデッキ、放り出される。
黒デッキ、バラエティに富み過ぎて止まらない。
このひらめき君、ものすごい構造の欠陥があって、誘発型能力がスタックに積まれてから解決されるまでの間に相手がそのマナ総量を持つ呪文を唱えることを別に禁止していないので、「じゃあ今のうち唱えとくか」みたいなことが平気で通るんですよ。君はもうちょっと人に厳しくなってもいいんじゃないかな。
ひらめきロック、妙案思いついたら再挑戦したい感じではあるんですが、前途多難です。次回作にご期待ください。
あとこれやるなら多分相手の手札を見に行ける青黒の方が強いです。リリアナを使え。