【Affinity softwareってどうよ】買い切り型クリエイティブソフトはAdobeの代用になるか

クリエイティブに携わる人の必携ツール、Adobe。今や押しも押されぬ業界標準です。

Adobeの欠点としては、とにかく使用料金が高い&継続的にコストがかかることが真っ先に挙げられます。そんなAdobeの代用ソフトウェアとして、Adobeと同等の機能を持ちつつ買い切り型のソフトウェアとしてAffinity Softwareが知られています。

本当に代用になるのでしょうか? 買い切りにしたって決して安くはない値段、買ってから後悔しても遅い……ということで、実際にユーザーである私から、Affinity SoftwareとAdobeの正直な比較をお届けします。

AdobeとAffinityの各ソフトの対応表

AdobeAffinity
Adobe PhotoshopAffinity Photo
Adobe IllustratorAffinity Designer
Adobe IndesignAffinity Publisher

Affinity Softwareから提供されている3本のソフトウェアはこのように対応しています。

ロゴで見ると、色が対応していなくてちょっと混乱するかも。

Affinity softwareはAdobe製品の代替になるか?

機能性、操作性の違い

両方のソフトウェアを使ったことがあれば、その微妙な使用感の違いに気が付きます。

たとえば、クリック&ドラッグで範囲内の図形を選択する際、図形の一部分でも範囲に入っていれば選択されるか、あるいは図形を全て範囲内に入れていないと選択されないか……という違いがあります。些細なことですが、普段無意識にやる操作でこのような違いが出るのはストレスの元です。

既に片方を長く使っていてその使用感に慣れており、そこからもう片方のソフトを学習するのは、直感的に操作できない部分がいくらか出てきてしまうことから手間がかかります。一応、これらの挙動は設定で変更が可能ですが、そのためにまたインターネットで検索しなければならないと考えると結構大変です。

次にAdobeソフトウェアに代表的な2つのファイル形式について互換性を確認します。

.aiとの互換性

ファイルを外部に提出する必要があり、.ai や.psd での納品が指定されているケースはよくあります。

.aiについては、互換性があると書いているサイトが多いですが、エアプか???完全な互換性はありません。

具体的には以下のような対応をしています。

  • .aiファイルをインポートすることはできますが、テキストのフォントが失われます。
  • .aiファイルをエクスポート(出力)できません。

.ai形式で出力できないというのが大きな問題で、基本的には別ファイルを噛ませるしかありません。ちなみにインポートもあまりあてにならず、特にMacで作られた.ai.をWindows環境で開こうとするとフォントの問題で文字化けが多発するようです。

正直、実務上.aiとは全く対応していないと言って差し支えありません。

.psdとの互換性

一方、.psdについてはまあまあ対応してくれます。

  • .psdファイルをインポートすることはできますが、不可逆変換のため保存は.afdesign形式になります。
  • .psdファイルをエクスポートできます。

こちらはインポート、エクスポートともに可能です。一旦.afdesign形式(Affinity Design専用のファイル拡張子)を噛ませる必要はありますが、ほとんど問題にならないレベルです。

ただ.psd出力したいだけなら別にAffinity softwareでなくても結構いろんなソフトで可能ではありますが、Affinity DesignerであればPhotoshopとほとんど遜色ない編集ツールを利用できるので、もらった.psdファイルをワンタッチでインポートして、レイヤーを編集してまた.psdで返す、ということがこのソフト一本で完結します。

各ソフト間の連携機能

それぞれのソフトはいずれもものすごく大きな枠組みで言えば「画像編集ソフト」ですが、それぞれができること、得意なことには当然ながら違いがあります。3本全てのソフトを購入しているなら、1つのファイルに対して3本のソフトすべての機能を使うことができます。

これはAdobeの強みとして語られることが多いですが、実はAffinity Softwareも同等の機能を有しており、この点に関しては遜色ない働きを見せてくれます。

どうしてもAdobeが必要になる理由とは

個人で手の届く範疇の価格で何かを作りたい、そのためにソフトウェアが必要である、といったケースの場合は明らかにAffinity Softwareの方が優れていると考えます。特に投資回収率を考える必要のあるフリーランスの場合、Adobeに契約するコストは馬鹿にならないので、Affinityが支持を集めやすいです。

Adobeは敢えて言えばその法外な維持コストを持ちながら、業界をほぼ寡占しています。それは相変わらずAdobe Creative Cloudでしかできないことが多いからです。

先人の知恵

一番の理由は、やはり使い続けられてきた圧倒的な実績とそれに基づくコミュニティの広さでしょう。

一から始めたいと思った時、学習のためのソースにアクセスが容易です。また何かがやりたくて困っている時に、検索すれば回答が必ず見つかるのはAdobeならでは。Affinityの方も徐々に情報が増えてきてはいるものの、まだAdobeのそれには遠く及びません。

豊富な素材

Affinity Softwareはまだ単純にソフトとしての評価しかできませんが、Adobeはソフトに加えてそこで使える素材(Adobe stock)も大量に有しています。これを自由に使いながら制作できるのはAdobeの大きな強みです。

とはいえAffinity SoftwareでもAdobe stockを契約すれば使用感は近いものが得られます。例えばフォントは自由にダウンロードできるようになりますので、Affinity Software上でも問題なく使用することができます。

AI技術

Adobeは近年AI技術にも力を入れ始めていて、AI関連の機能を実戦レベルで使用できます。今後この技術がどれほど発展してどれほど必要なものになるのかはまだ未知数ですが、少なくともAffinity Softwareが現在この領域に踏み込んできそうな兆候はありません。


企業間で競争力のある製品開発をする必要があり、そのためにかかるコストとして月額数千~数万円レベルの出費が無視できる、といったレベルの用途になると、相変わらずAdobeの方に分があると考えるデザイナーは多いようです。

まとめ – Affinityが向いている人とそうでない人

個人での使用を検討していて、Adobeの契約に踏み切れない理由がその費用面にあるという人や、Adobe並みの機能を使いたいけれど継続的に使用する予定がない人は、Affinity Softwareを試すことをおすすめします。

一方で、これらのソフトを使って業界で通用するものを作りたい人には多少高くてもAdobeの契約をおすすめします。

また、中学生~大学生で学割が効くうちであれば、今のうちにAdobeを使いこなせるよう練習するのが良いでしょう。これらのソフトは学習する機会がいつでも与えられるわけではありませんが、将来必要な時に触ったことがあるというのが大きな価値を持つ場面というのが出てきます。もちろん環境が許すならではありますが。

自分の身の丈に合ったもので、いいものを作る。皆さんにとって、このページのヒントが少しでも助けになれば幸いです。