豊住線沿線予定地には何がある? 始点から終点まで全線歩いてみた【後編 東陽町~住吉】

豊住線をルート通りに散歩します。前編の続きで、東陽町以北を歩きます。

前編(豊洲~東陽町)と豊住線の概略についてはこちらから!

豊住線マップおさらい

この支線は洲駅と吉駅をつなぐ、全長5kmほどの短い路線になります。両駅の頭文字を取って豊住線です。

停車駅は以下の5つ。

豊洲駅有楽町線、ゆりかもめ
枝川駅※
東陽町駅東西線
千石駅※
住吉駅半蔵門線、都営新宿線
※印の駅名は仮称

千石駅は文京区、都営三田線に同名の駅がありますので、ほぼ確実に別の名前が付くことになると思います。記事中で「千石駅」の表記は特記しない限り豊住線の千石駅予定地を指すものとします。

今回は東陽町からです。

東陽町駅~千石駅

永代通り、東陽町駅前交差点を出発し、北上します。この交差点はちょうど都道465号深川吾嬬町線、通称四ツ目通りの起点となっており、この道路は住吉、錦糸町、押上を通り曳舟の近辺までを結んでいます。

豊住線もこの道路に沿って敷設される予定なので、この後の道程は四ツ目通りをひたすら直進するだけです。

右手側に本事業の旗持ちともいえる江東区役所が見えてきます。

道路をかなりきれいにしています。

道を挟んで反対側、こちらは知っている人は知っている建物。なんでしょう?

建物のてっぺんに掠れた文字で「円楽党」がうっすらと残っているのが確認できます。ここ「若竹」五代目三遊亭圓楽師匠が1985年に自費で開設し、圓楽一門会で使用していた寄席です。経済的事情によりわずか4年余で閉業してしまい、50代のしばらくを借金返済のための講演に充てることになったのは業界では割と有名な話かもしれません。

遠因には、ターミナル駅から遠く立地に恵まれなかったことがあるとされています。もはや過ぎ去った話ではありますが、豊住線があればあるいは、と思わずにはいられない話です。

まだこの辺りも埋め立て地ですが、道沿いはゆるやかながら結構起伏が出てきます。

仙台堀川とその親水公園を跨ぐ橋は豊住橋と名付けられています。

ここを跨ぐと地番は千石2丁目

千石駅予定地は明示されていませんが、少し進んだ千石二丁目バス停周辺の歩道が若干広くとってあるので、出口ができるならここでしょうか。

この辺りは北を都営新宿線、南を東京メトロ東西線がそれぞれ東西方向に走っており、ちょうどその中間地点に位置して便利な最寄り駅がない鉄道砂漠です。

千石駅~住吉駅

小名木川橋で小名木川を跨ぐと地名は猿江。もう住吉は目前なのですが、この辺りでやっと埋め立て地と別れを告げます。

押上までまっすぐつながる道ということで、天候こそ良くないですがスカイツリーを見ることができます。

橋から西を臨むと水門があります。これは扇橋閘門(こうもん)。

小名木川の東側は、主に水害を防ぐ目的で西側よりも水位が低く保たれています。扇橋閘門は船舶の航行時に水位を調整する役割があります。パナマ運河などで使われる水門と原理は同じです。

橋の北詰には五百羅漢寺(今の目黒区)への道筋を案内する道標、江東区の有形民俗文化財である五百羅漢道標が残されています。川に面した位置に建立され、陸路と水路の両方から見えるようになっていたわけです。

数ブロック歩けばもう住吉駅です。お疲れさまでした。

住吉駅構内、半蔵門線ホームは地下3~4階の上下2層構造になっています。ホームの反対側は柵で覆われていて、たまに退避している車両の姿を見かけることもあるようですが、実はこれが豊住線ホーム予定地

左側にも線路が敷いてあります。

前編の豊洲駅ホームのところで、ホームの上下線に若干の段差があるという話があったのを覚えているでしょうか。あれは平面構造から上下2層構造に直すための布石だったわけです。

現在、線路の豊洲駅方面終端は上下線とも同じように塞がっています。延伸計画が動き出したら、この先を掘り進めていくことになります。

そのうちここから再びトンネルを掘り始める日が来るのかもしれない。

※写真は安全に配慮してホームから乗り出さない形で撮影しております。

総括 – 豊住線は建設に値するか?

東京都内、特にいわゆる都心部と言われるような場所で鉄道網がない場所を歩くのは滅多にないことです。

枝川の辺りは割と住宅が多く人口もそれなりであるのにもかかわらず、バスがないと生活に困るような不便さを感じる立地という印象を受けました。

東陽町から住吉にかけては、永代通りをはじめ大きな通りを何本も横切って歩いていますし、全体的に東西の通りに合わせて道を無理やり敷いたかのような起伏が見受けられました。昔から南北方向への人の流れというのがあまり考えられていなかったように思います。

豊洲住吉間が直結すれば、この区間を移動するのにかかる時間は半分以下になります。江東区の地元活性化だけでなく、外部から諸方面に出掛ける人にとっての利便性の向上も期待できますし、この延伸計画は価値ありと評価してよいのではないでしょうか。

ルート上で見かけたポスター。

完成にはあと10年ほど先を待たなくてはならないようですが、良い続報を待ちたいと思います。