雀魂の非公式ツールとして、自分の戦績を詳細に確認できる「雀魂牌譜屋」というサイトがあります。金の間以上で自分が打ったるデータを全て収集して、見やすくまとめてくれている便利なサイトです。利用登録なんかも要りません。便利な世の中ですね。
今では割と有名なツールなので、真面目に麻雀が強くなりたい人は皆さん活用しているのではないでしょうか。
データの見方について
さて、そんな雀魂牌譜屋ですが、それぞれのデータをどう解釈し、どう改善するか、というのは意外と難しい問題です。今回は各種データのうち特に段位と結びつきが強いデータに絞って、なぜそうなるのか、を掘り下げてみたいと思います。
雀魂牌譜屋では、各データについて段位別の平均値も見ることができます。段位が上がるにつれて露骨に上昇している数字や露骨に減少している数字が、強い人と弱い人の差、というわけですね。
ここで「雀豪1の平均値」が出ていますが、これは「雀傑3-雀豪1をループしている人」の平均値も取り込んでしまっているので、安定雀豪1の人の平均値よりは悪い成績であることに注意する必要があります(実際はもう少しいい数字であるはずだということです)。
まあ実際これがそれほど問題になることはないのですが、例えば今の自分の数値が雀豪1の平均と同じだったとしたら、それは「雀傑3-雀豪1をループしている人の平均と同じ」だということになります。もっと頑張らないとダメ、と肝に銘じなければなりません……。
基本ブロック
和了率と放銃率
雀魂のゲーム内で確認すると過去に銅の間や銀の間などの成績も加算されてしまうので、今の実力を知りたければ雀魂牌譜屋で今打っているレベルだけの成績を確認しましょう。
長期的な目標になる数値は、卓によって変わってきます。
- 金の間の場合、和了率の長期的な目標は23.2% 放銃率の長期的な目標は13%
- 玉の間の場合、長期的な目標は22.5% 放銃率の長期的な目標は11.5%
※金の間の場合は昇段に要求される点数が少ないので、打ち方が改善した場合はこの数値に達する前に昇段してしまうかもしれません。
金の間と玉の間の各段位の和了率と放銃率をグラフにプロットするとこのようになります(2024年9月のデータですが、時期によって大きな差はないでしょう)。
一般によく言われている「和了率-放銃率=10%が目安」ということを実践できれば少なくともそれぞれのフィールドでは上位に入ることが可能ですが、金の間と玉の間では難易度に大きな違いがあることがわかります。
ちなみに、参考までに王座の間で勝ち越している魂天位が玉の間で打っていた時はどの程度の成績だったかを数名分抽出してプロットしてみました。多少のばらつきはありますが放銃率1ケタ台は当たり前、その上で和了率をしっかり確保しているのがすごいですね。
ダマ率
ダマ率では、段位の上昇と共に緩やかに増加します。
ダマ率はプレイスタイルの差が出る部分なので多少の差は無視できる部分ですが、平均と比べて極端に高い、極端に低いといった特徴がみられる場合、通常は改善する余地があります。11%未満、15%以上は要注意です。
なお、魂天位になるとルールの変化によってリーチ優位になる局面が増えるため、ダマ率は雀聖3の平均よりわずかに減少します。
流局率
流局率は、段位の上昇と共に緩やかに増加します。
流局率が低い理由と対策
自分が和了したり放銃したりする機会が多い場合、流局率は下がります。
流局率が低すぎる場合は適切に降りきれていないことが原因である場合がほとんどです。放銃率が高い場合は普段よりややオリの意識を強くすることで数値の改善が見込めます。
流局時聴牌率
玉の間においては段位と強い負の相関を持ちます。一般的に、この数字が45%を超えた状態で玉の間で長期的に勝ち越すのは難しいです。
流局時聴牌率が高い理由と対策
遅い巡目まで聴牌を狙いすぎたり、無理な聴牌維持をしすぎたりすることで流局時聴牌率が上がります(同時に放銃率も上がるはずです)。流局時聴牌率が高いプレイヤーは適切にオリを選択できておらず流局直前の打牌が雑な傾向があるので、流局が近くなったらより安全な牌を探すことを意識することで改善します。
罰符を払っていたらマイナスになる?
放銃と比べた時に罰符の支払いは影響が小さい状態では、罰符の支払いを受け入れる余地があります。
プロの対局でそこそこ頑張って聴牌を取っているのをたまに見かけますが、あれはトップの価値が高いから、安易な放銃が少ない環境下では罰符での失点もバカにならないから、というフィールドの違いがあります。
玉の間ではそこまでのものを求められることはありません。
和了巡数
段位が高くなると平均和了巡数は速くなります。原因は2つあります。
和了巡数が遅い理由と対策
和了巡数が遅い理由のひとつは、単純に牌効率ができていないことです。
もうひとつの理由は見過ごされがちですが、先制できていないと思われるほど遅い巡目まで自分の聴牌とあがりを優先した打牌をすることで、極めて遅い巡目でのあがりが発生しやすくなり、結果として平均和了巡数は遅くなります。和了率も放銃率もそこそこ高くて和了巡数が遅い場合はこのパターンに陥っている場合が多いので、自分のあがりを追い続けることが見合う状況なのかの見極めに意識をおくと改善しやすいです。
平均和了
平均和了(平均打点)は段位が高くなると緩やかに減少していく傾向にあります。
これはリーチ率が減少して副露率とダマ率が上昇することによる副次的な変化で、この数字そのものの変化には大きな意味はありません。実際に、平均和了点が高いままで高い段位を維持できるプレイヤーも少数ながら存在します。
平均放銃
平均放銃打点は段位が高くなると緩やかに減少していく傾向にあります。これは平均和了とは違い、単独で改善が可能な指標です。
平均放銃が高い理由と対策
平均放銃は「打点に結び付きそうな要素が多い手に対して引き気味に打つ」ということを意識することで下げられます。
リーチに対して押さない、というのが一番簡単かつ大きいです。これはどんなに意識してもしすぎることはないので、もうできていると思っていてもまだ詰められる余地がないか常に考えている方が良いです。
次いで大きいのが簡単に打点のタネになるドラの存在です。ドラ2以上を鳴きで晒している相手に対して押さない、自分からドラが見えていないときに押さない、赤ドラを含んでいそうな手に対して押さない、ドラ跨ぎの待ちになる牌を押さない……など、ドラ絡みだけでも考えられることは多岐に渡ります。
立直ブロック
立直率
段位が上がるほど緩やかに減少していく傾向にあります。
立直率が高い理由と対策
アプローチは2通りあります。
副露率が平均より低い場合は、それを上げることで立直率を下げることができるでしょう。
ダマ率が平均より低い場合は、立直している手を一定の割合でダマに回さなければなりません。この場合は、先制できていないと思われるシチュエーションから立直を優先的に減らしていきます。特に追っかけ立直を減らすことが効果的である場合が多いです。
立直率が低いのはラス回避のルールにおいて強い打ち方である、ということに注意が必要です。実際に玉の間では段位の上昇と共に立直率は緩やかに減少しますが、魂天になってトップとラスの順位点の重みが同じになりラス回避の麻雀ではなくなると、立直率は再び増加します。
同じ卓にラス回避目的の打ち方をするプレイヤーと純粋な平着の向上を狙った打ち方をするプレイヤーが同卓すると、ラス回避の打ち方をするプレイヤーが一方的に防戦に徹しなければならないため、割を食って一方的に不利になります。玉座の間で雀聖と魂天が同卓した時に起こりうるシチュエーションなので、注意が必要です。
立直和了
立直和了率は段位の上昇と共に増加します。
立直和了率が低い理由と対策
上がれない立直をしている、ということになるので、そういった手を立直しないことが必要になります。立直が上がれない理由はいくつか考えられます。
まず、残り巡目が少ない立直は純粋に和了率が悪くなります。立直巡数の指標を確認して、これが遅すぎる場合は関連がある可能性が高いです。
次に、先制できていない状況での立直は相手に和了を潰される可能性が高まるため、和了率は下がります。追っかけ立直は典型的な例です。
最後は、純粋に山に残っていない待ちで立直してしまうことが挙げられます。愚形リーチはもちろん、形式的には良形聴牌でも相手に使い尽くされている待ちなんかがこれに当たります。考えやすいシチュエーションではあるものの、実はこれを改善するのは結構難しいため(わかっていてもリーチが正解になるシチュエーションも多いなど不確定要素が多い)、まずは上記の2つから改善を狙うのがおススメです。
立直放銃A、立直放銃B
立直放銃Aはリーチを宣言した瞬間に放銃になったケースを含み、立直放銃Bはこれを含まない統計です(つまり、立直放銃A-立直放銃B=立直宣言牌での放銃率です)。どちらも段位の上昇と共に緩やかに減少していく傾向にあります。
立直放銃Aが高い理由と対策
(立直放銃A-立直放銃B)が4%を超えて高い場合、立直宣言牌が放銃になりすぎているということになります。
この場合に気を付けたいのは聴牌した時に立直するかどうかではなく、相手の立直に対して一向聴以下の状態から押し返しすぎない、ということです。
相手の先制立直に対してこちらが後から門前で追いついてしまった場合、追っかけ立直をかけること自体は正着であることが多いです。問題なのは、相手の立直に対して多少危険な牌を通せば追いついてしまうような手の進め方をしていることにあります。メンツの中抜きをして完全にオリてしまうようなベタオリが苦手、というようなタイプが典型的な例です。
立直放銃Bが高い理由と対策
立直放銃Bが高い場合、相手が押している(聴牌している)ところにリーチで突っ込んでいってしまっている、ということになります。
追っかけリーチ率が高い場合は立直放銃Aも立直放銃Bも連動して高くなっているはずです。
追っかけリーチをそんなにしないにもかかわらず立直放銃Bが高い場合、既に聴牌している喰い仕掛けに対して被せてリーチをしているケースが多く、それによって放銃し過ぎている、ということになります。
これが一概に悪いこととは言い切れません。鳴いて仕掛けている側としても、いくら聴牌しているからと言って立直に押し続けたいものではないからです(とはいえ、聴牌しているならほとんどの状況で押しが正当化されるため、間違ったことをしているわけではないです)。
立直放銃Bの数字が極端に高いのであれば、こういった点から見直してみることができます。
先制率
先制リーチ率は段位の上昇と共に増加します。
先制率が低い理由と対策
まず、牌効率ができていないと聴牌速度が遅くなり、結果として先制率は下がります。
そうではない(牌効率はできているはず)のに先制率が低い場合、適当な所で手に見切りをつけるということができておらず、あがりを深追いし過ぎているということが考えられます。「そもそも何巡も前に降りているべき手」を降りなかった結果、聴牌してしまって追っかけリーチを打つことになっているということです。
一発率
単独で意味のある数字ではないのですが、疑問に感じている人が多いため個別に解説します。一発率は段位の上昇と共に減少します。
段位が高いほど一発率が低い理由とは?
高段位者ほど平均立直巡目が早いから、というだけで理由の大部分が説明できます。
自分が立直して以降の進行に関与しなくなると、その時点で残っている待ち牌の枚数によって一巡あたりの和了率は一定になります。一発であがる回数自体は変わらなくても、和了までの抽選回数が増える(=和了の回数自体が増える)ことで、一発であがった割合は少なくなる、というわけです。
よくある勘違いとして愚形でも”正しく”立直することが影響していると考える人もいますが、影響はほとんどなく、玉の間では段位による愚形率の差はほぼありません。
一発率が高い人の平均立直巡目を確認してみると、ほとんどの場合は平均よりかなり遅い数字が見られます。
ほかブロック
放銃時立直率、放銃時副露率
放銃時立直率は段位の上昇と共に増加します。放銃時副露率も上昇しますが、放銃時立直率に比べれば変化は緩やかです。
放銃時立直率、放銃時副露率が低い理由と対策
字面は奇妙ですが、当然ながらリーチした後にもっと放銃するように……ということではありません。それ以外の放銃を避ける必要があります。
この後さらに解説しますが、放銃時の状態としてはリーチしている時、副露している時、門前ダマの時(聴牌していない場合を含む)の3パターンがあります。一番問題になるのは門前で聴牌していない状態の時に放銃することです。相手が聴牌しているのに、見合わない価値の手で押し返していることが多い、ということを意味します。これを減らすだけで放銃時立直率、放銃時副露率はどちらも自然と上昇します。
副露後放銃率
副露後放銃率は段位の上昇と共に減少します。
副露後放銃率が高い理由と対策
仕掛けた後は手牌が短くなって守備力が落ちますが、仕掛ける時に自分のあがりの都合だけではなく、相手から攻め返された時に安全に受けられるかどうかまで考えられるようになるとこの数字は改善します。
打点十分ではない1000点や2000点のかわし手を狙う場合、仕掛けた瞬間に「次に相手からリーチされたらこの牌が安全に切れる」というところまで考える癖をつけると良いです。巡目次第では逆にそれができないから鳴かない、という判断もあり得ることになります。
たまに、一度鳴いたらあがりに行くという方針をブレさせないということを指して初志貫徹という言葉が使われますが、実はあれは良くない考え方です。あがるために仕掛けたとしても、状況が変化したら降りることも考えなければなりません。ある程度麻雀が打てる人は、そこの切り替えが上手くできている人が多いです。
打点効率、銃点損失、調整打点効率、局収支
非常に重要なコンセプトのため、別記事で解説します。
金の間を脱出して玉の間で苦しんでいる人は必ず身に着けなければいけない考え方になります。
まとめ
長々と書きましたが、結局のところ、ほとんどの項目が押し引きと放銃絡みで改善可能な指標である、ということがお分かりいただけたと思います。
以下に該当する場合は押しすぎ。
- 放銃率が高い
- 流局率が低い、流局時聴牌率が高い
- 和了巡数が遅い、一発率が高い
雀魂で成績に一番直結するのは放銃関連の指標です。
自分の成績を定期的に見直して、自分の打ち方にどんな傾向があるのか、何が弱点なのかを正しく分析することが上達の近道です。
数字は結果しか示してくれません。その数字に結び付いた理由を考えるのは人間の仕事です。自分のデータに極端な数字が見られたときに、「なぜそうなっているのか」を正しく解釈できることがとても重要です。
放銃率が高かったからと言って、本来攻めるべき手でも降りるようになってしまっては意味がないのです。どういう場面で攻めすぎているのか、まで深く読み取ることで上達の速度は段違いになります。正しい解釈ができていれば、間違った方向に修正してしまうことを避けることができます。
それでは、よき雀魂ライフを。