クイックドラフトで強いデッキを組みたい! 7勝デッキ集【MTGアリーナ】【エルドレインの森】【機械兵団の進軍】

MTGアリーナには、他のプレイヤーのことを気にせず気軽にドラフトを楽しむためのモード、「クイックドラフト」が実装されています。

これはbotに他プレイヤー7人分のピックをしてもらうゲームモードです。

このドラフト、botの挙動が人間がやるピックとだいぶ異なっているために、それをハックした動きをすることで勝ちやすいデッキを組むことができるようになっています。一方で対人を意識したピックを進めてしまうと思ったようにカードが集まらないことも。

対人ドラフトより安く遊べるドラフトということで気になっている方も多いと思うので、この辺りの挙動を解き明かしてみましょう。

7勝するためのピックの仕方

大会だと8人が同じ卓に集まって同じカードプールからドラフトし、トーナメント形式で3試合プレイします。一方、3敗する前に7勝すれば完走となるクイックドラフトの場合は、それとはだいぶ事情が変わります。

2敗はしてもいいので、最強デッキを作る必要はない

この言葉は捉えようによってかなり色々な解釈ができますが……

「うまくピックできてデッキが完成すれば最強だがそうでない時はやや弱い」色よりも、「安定してそこそこ強いデッキが組める」色の方が総じて優秀です。上手く組めれば7-1や7-0も行けるが失敗すると3-3以下で終わる色よりも、安定して5-3~7-2が出せる色の方が良い、ということです。

前者はカード同士のシナジーが中心で、特定のアーキタイプに沿って組みたい色。後者は多く流れてくるコモンに単体でそこそこ優秀なものが多く、グッドスタッフ的になりやすい色です。

シナジー前提のカードは相方がピックできそうかを考えておく

シナジー前提のカードであっても、積極的にピックできるものもあります。

これはエルドレインの王権の《王女、空を飛ぶ》というアンコモン英雄譚です。1~2章までの効果は万能除去の後を追って+2/+2飛行付与となかなか強く、3マナとは思えない働きをしますが、3章の効果で除去したパーマネントを場に戻してしまうデメリットがあるため、そこまでに自発的に場からどかすシナジーが前提になるカードです。

結論から言うと、このカードはかなり積極的にピックできます。

このカードの相方になるのは、主に協約コストを持っているカードです。そもそも協約と書いてあるカードはたくさんありますし、ほとんどの色の組み合わせでデッキにかなりの枚数の協約コスト持ちのカードを入れることになります(そして実際にプレイすることになるでしょう)。なのでこのカードは相方がたくさんいるので問題なく採用できるというわけです。

逆に相方が少ない、不安定、といった理由で見送るようなカードもあります。

サイドボード用カードは不要

当たり前のことですが、一応。クイックドラフトは1本先取のルールしか採用していないので、特定のカード対策として2本目以降に入れたいカードをわざわざ取ることはありません。

実践例

ここからは最近の環境で実際にクイックドラフトをプレイして作ったデッキを見ながら、どんなデッキが強く作れるのかを考えてみます。

機械兵団の進軍

このエキスパンションについては以前の記事でも扱っていますのでそちらも参考にしてください。この時は「基本は緑青多色推奨」と書きましたが、今回はまた別なアプローチを取ります。

パックからの各レアリティの開封比が普段とは違い、各パックに多元宇宙の伝説枠が用意されているため、レアが多め、コモンが少なめになっています。そのためボムレア環境であると同時に、狙ったコモンがやや手に入りにくくなっています。

レア枠が強く色マナサポートが適切にピックできれば緑青多色が強く組めるのは間違いないですが、そうでない時もあります。今回のデッキは主にそういった時にアンコモン以下でいかに強く組むかというコンセプトです。

青黒赤(7-2)

この色の組み合わせの良いところは、軽いアクションが多いため序盤にゲームが崩壊する可能性を秘めているだけでなく、長期戦にも勝てるというゲームプランの広さがあります。そして何より安定したドロー手段により息切れしづらく再現性が高いことですね。再現性が高い=引きに左右されづらく安定した出力を保てるということなので、2敗を許して7勝を目指すという目的にマッチしています。

土地を16枚に削っているのがポイントです。ライブラリーを掘り進められる2マナ域のアクションを厚く取ることで、16枚でも土地4枚並べるのに苦労しません。

個々のカードについては省略しますが、気を付けたいのはいくらドローが優秀とはいえ色マナサポートの薄い3色デッキなので、該当する色の多色土地はかなり優先的にピックする、3色の割合が均等にならないようにする、という辺りは気を付けたいですね。赤は2マナ域のカードが多くタッチカラーにするには不向きなので、青黒要素は《光素を漁る者》《アモンケットの侵攻》だけにしておいて、青赤タッチ黒か黒赤タッチ青ぐらいがちょうどいい感じです。

環境にマッチした最強アンコモン《アモンケットの侵攻》

このカードは間違いなく環境最強格のアンコモンです。何がそんなに強いのでしょうか?

表面の性能から優秀です。雑に1ドロー1ハンデスなので、出した時点で0:1交換が取れており、さらに切削3によって裏面のお膳立てもしてくれます。そして肝心の裏面の性能がとんでもなく、全ての墓地から(自分の墓地ではない!)好きなクリーチャーを選び、4/4のサイズでそのコピーとして戦場に出られます。切削でボムレアを落としてコピーしたら相手が爆発した、なんてことは日常茶飯事です。環境にボムレアが多いおかげで、それを逆用できるこのカードの評価も上がるという仕掛けです。これが青黒3マナの仕事なのだから驚きです。

青のバトルは弱い、赤のバトルは強い

青単色のバトルは表面の効果が弱く、あまり積極的にプレイしたいカードはありません。一方で赤単色のバトルは全てプレイアブルで強力です。ただし《レガーサへの侵攻》だけは他にバトルがあることが強さの前提なので、ある程度の数のバトルが確保できている時にピックしましょう。

どちらも特定の相手にしか効かないカードだけど

黒のアンコモン除去に、《ぎらつく氾濫》と《無慈悲な再利用》というカードがあります。前者は色対策カードの側面がある全体修整、後者は破壊耐性持ちを後腐れなく追放できるインスタント除去です。

最初は《無慈悲な再利用》はどんな相手に対しても腐ることがない単体除去なので使える、《ぎらつく氾濫》は特定の相手にしか効かないからという理由で使えない、と考えていました。

しかし、実際に使ってみてわかったのは、《ぎらつく氾濫》の方がむしろプレイアブルだということ。逆に《無慈悲な再利用》は必要な場面がほとんどなかったのです。

《無慈悲な再利用》は特定のクリーチャーに対してピンポイントで使うスペルです。このカードでしか除去できないカードが相手のデッキに採用されていた上で、それをを追放できたからマッチに勝ったというシチュエーションがどれだけあるか? ということを考えると、この必要以上に重い除去にはそれほどの価値が無いのです。

一方で《ぎらつく氾濫》は特定のデッキに対して使うスペルです。基本的にBO1でこんなカードの存在はケアされません。相手のデッキが緑か白を含む確率は結構高く、相手が序盤に何の警戒もせずにズラズラとクリーチャーを並べたところにこれがクリーンヒットして容易に1:3交換、そのまま勝利というシチュエーションは結構頻繁に起きます。マッチ全体の数%をイージーウィンにできるカードと考えるといかに強いかがわかるでしょう。相手が悪く要らないカードになったなら赤のルーターで捨ててしまえばいいわけですし。

緑白(7-1)

この色の組み合わせは、「強く組めれば最強だが失敗すると弱いデッキ」の例として見るのがいいかなと思います。間違っても中途半端な出来で握らない方がいい色で、私が緑白で7勝したデッキはこれだけです。

全てをカウンターシナジーに寄せています。乗せるカウンターを増やすパーマネントが3種あってデッキになり、それに除去と回避能力、賛助を詰め込みました。これに当てはまらないものはほぼ採用していません。そもそもボムレアを綺麗に使い切れているデッキなので、これで負けたら本当に色が弱いとしか言いようがありませんからね。

ピックのポイント

  • アンコモンの青黒マルチ、《呪文槍のケンラ》を探し、見かけたら全部取って全て詰め込みます。雑ですが本当に強いです。
  • 青単色のバトルはどれも重く、盤面に与えるインパクトが弱いため、全てピック非推奨です。

エルドレインの森

かの悪名高きエルドレインの再来とあって期待と不安の高まるエキスパンションでしたが、結果的にはとても面白いセットだったのではないでしょうか。

強いのはネズミを量産して叩き込める黒赤だと言われていますが……。

白青(7-2多数)

(編注:ミスで41枚デッキになってしまっています)

散々黒赤が強いと言われている環境でこんなことを書いたら鼻で笑われそうですが、この環境のクイックドラフトにおける白青はあまりにも強いので強く推したいと思います。相当な回数を回しましたが、白青を握って5勝できなかったデッキは1つもありませんでした。

インスタントを構えて相手の行動に対応する、飛行によるすれ違いで先に20点を削るなど色々な要素が絡み合うのでそう単純ではありませんが、再現性が高く強いです。フラッシュ系デッキ、クロックパーミッションが得意な人には向いているでしょう。

最終的に負けそうになっても、たった1マナで+2/+2と飛行絆魂を付与する《アルコンの栄光》がダメージレースを破壊します。白含みのデッキと相対する時は常に頭の片隅に置いておきたいコンバットトリックです。《執拗な秘本探し》でドローや除去、打ち消しを際限なく回収して相手にプレッシャーを与え続ける動きも強いですね。

ちなみに一応白青にはタップが固有のアーキタイプとして割り当てられていますが、タッパーの数は限られているので《氷冠のヒルダ》でもピックしていない限りは完全に無視しても問題ありません。

赤白(7-2)

赤白は基本的には数枚のキーカードが拾えた時に組む色です。実質神話レアのアンコモン《イモデーンの徴募兵》、《かじりつく大合唱》が入っていない赤白デッキは赤白デッキではありません。並べて全体強化して叩き込む。これだけです。なのにこの環境はどういうわけかこれが強いです。

一応ここで使わなかった黒と緑について触れておくと、黒は除去がかなり強いため優秀な色です(主に《がぶりんご飴》が強い)。ただ赤白がアグロ寄りで使いたい色のため除去ミッドレンジにしたい色というのがあまりなく、結果見送られがちです。緑はパッとしないカードが多く、強いピックをするのが難しいです。黒緑食物が上手く組めていると強くなれるかなという印象です。

なぜ黒赤ではないのか

答えは最初の方で既に書いています。黒赤は「『強く組めるなら』最強のデッキ」だからです。

《塔の点火》、《がぶりんご飴》。この環境を定義する軽量除去は黒赤の強さを語る上で欠かせない要素です。また、ネズミの大軍を生成する手段と、それを押し込むための《かじりつく大合唱》も抜かせないでしょう。いずれもコモンであることには違いないのですが、必須パーツが多すぎるのです。そしてそれらがピックできなかった時、ライフゲイン手段に乏しい黒赤デッキは斜め上からダメージレースを挑んでくる白青の絶好のカモになります。

白青を握っていて黒赤の相手と当たるのは確かに嫌ですが、それは黒赤が正しくブン回ったらの話。回らない黒赤は怖くないのです。

「1マナクリーチャーはリミテッドでは弱い」はもう古い

リミテッドのマナカーブ論について調べると、一昔前は1マナクリーチャーの価値はほとんどないものとして扱っている記事を見かけますね。基本的に1ターン目は土地を置いてエンド、が当たり前でした。

しかし最近はクリーチャーの質が上がったことによって、1マナクリーチャーにも無視できない脅威が出始めています。タフネス2のクリーチャーと相打ちを取れたり、黙っていると無限に強化されていくようなクリーチャーが1マナ域にもいるのです。

もはや1ターン目をパスする前提でデッキを組むのは古いと言わざるを得ません。これは特に1本先取のクイックドラフトにおいては顕著です。「後攻を引いてアグロに轢き潰されたからサイド後に2本取ればいいや」が通用しないので、後手を引いた時に壁として通用するアクションを用意しておくのが賢明です。後手を引いたマッチで何もできずに負けてしまうことが多い印象を持っているという人は、後手を引いた時に防戦できるプランができているか、考えてみるといいと思います。

ピックのポイント

  • 最初のパックは赤の全体強化と黒赤の除去を探しますが、ここで十分な数が取れそうにないと判断したら白青が安定します。
  • 極めて速い環境なので、序盤でもたついていると一瞬で押し込まれてしまいます。1マナ~2マナ域のクリーチャーの数を確保しましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。サンプルデッキ集から何か役に立ちそうな考察が得られれば幸いです。

クイックドラフトは対人ドラフトとは少し違ったピックをすることで、効率よくジェムを稼ぐことができる穴場です。botの習性を利用して、欲しいレアカードを集めつつ、対戦にも勝てるデッキの組み方を模索してみてください。