ここ数年、エナジードリンクは現代人のカフェイン摂取源としてどこでも見かけるありふれたものになりましたが、大正製薬のエナジードリンク「RAIZIN」がまさかのノンカフェインを標榜しているのを見つけました。あまりにも気になりすぎたので、リサーチしてみました。
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RAIZINとの出会い
ひょんなことから、知人にエナドリをもらいました。
私は普段エナドリを飲みません。というのも、(おそらくカフェインが多すぎるせいだと自分では思っているのですが)飲んだ後に気持ち悪くなってしまう体質のためです。これを読んでいる皆さんの中にもそういう方はいらっしゃるのではないでしょうか。
これもきっと同じなんだろうな……と思って、一応栄養成分表示を確認したところ、
全く期待していなかったカフェイン 0mgの表示がありました。どういうこっちゃ、と思ってよくよく聞いてみると、なんでもこれ、カフェインに代わる新素材「enXtra(エネキストラ)」を配合したエナドリで、カフェインにある種々の副作用などに悩まされることがないんだそう。ついでにノンシュガーでカロリーもゼロ。すごーい。
カフェインに代わる
RAIZIN 製品紹介ページ より
植物由来enXtra(エネキストラ)を配合した、
カフェインゼロ、カロリーゼロ、シュガーゼロの
トリプル0のエナジードリンク
それを聞いた私ですが、そこは腐っても薬科学の院卒。そう言われちゃうとほんまかいな、と調べたくなるのが性です。そんな優秀な成分がそう簡単に見つかるわけ……。
ということで、謎多き新成分、エネキストラについて調べてみました。
enXtraとは?
とりあえずまずは供給元になってそうなところを探しに行きます。まあロゴもあるし簡単に見つかるだろう、と思っていたのですが……なんかこのロゴ、enXtraを供給している全ての企業が共通で使ってるっぽいんですよね。
- http://www.glucan.co.kr/ja/enxtra/
- http://omniactives.com/ja/product/enxtra/
- https://enovatebiolife.com/our-range/enxtra/
- ……その他多数
※海外サイトです。リンクは繋ぎませんので見たい方はご自分でアドレスバーにコピペしてください。
どの企業も言ってることはほぼ同じでした。集中力を最大5時間持続させる、血圧上昇がない、カフェインクラッシュがない、臨床試験で安全が確認済み、などです。
米国で特許取得済みだった
次に特許資料をあたりました。特許が見つかればケミカルとしての構造も明らかになるはずです。
まあこれだけ大々的に宣伝しているし、おそらく特許取得物質だろうなとは思ったのですが、日本ではそれらしい特許を発見することはできませんでした(2022年1月現在)。まあそもそも日本ではまだ供給元がなさそうだったのでこれは致し方ないでしょうか。
調査の結果、アメリカで特許が取得されているのを発見しました(特許番号:US-2018221430-A1)。
内容については読み違いなどあると怖いのでここでは突っ込んで解釈しませんが、この特許資料で概ねどのようなものであるかは判明しました。
エネキストラの中身
上述の特許によると、どうやらエネキストラと呼ばれているものは単一の化合物ではなく、植物の水抽出物、つまり混合物であるようです。したがって有効成分がどれかというのを特定するのも難しいようです(これは個人的経験から来る憶測に過ぎませんが、この手の製品は何がどう効いているのかがわからなくても「とりあえず効くし安全なのでOK」といって詳細な研究がされない傾向にあるので、そもそも解明されていない可能性もあります)。
原料はガランガル(ナンキョウ)という植物
原料になっている植物ですが、これはRAIZINの原材料名にも書いてある通り、ガランガルというショウガ科の植物です。ちなみにwikipedia(2022年1月現在)によると、ガランガルというのはショウガ科の4種類の植物を総称して使う言葉のようですが、エネキストラの原料になっているのはそのうちAlpinia galangaのみだと思われます。
- 学名:Alpinia galanga
- 和名:ナンキョウ
- 原産地:中国南部
インドなど東南アジアではスパイスとして普通に使われているみたいです。食経験は十分にあるということですね。とりあえずこの情報で安全性に対する懸念はぐっと落ち着きました。
まとめ
- エネキストラは(たぶん)ショウガ科の植物のエキス
- 副作用などは今のところないとされているがよくわからない
- 東南アジアを中心に十分な食経験がある植物由来なのでたぶん安全
結論としては、エネキストラは未だ謎多き物質の枠を離れないように思いました。今後具体的な効能についてより深く研究された結果が出てくるのを待つしかないかなと思います。とはいえRAIZIN自体は日本で食品として認められた商品なので、効くのかどうかはともかく、当分は飲むこと自体に何の問題もなさそうです。
【追記】飲んでみた。
「どうせ書くなら飲まなきゃ」っていうありがたいお言葉(?)を頂いたので、飲んでみました。
ベースは普通のエナドリ系なんですが、甘さ控え目なのであまりベトつかず、後味もサッパリしています。ジンジャー風味がやや強いように感じました。
そこそこ味覚が肥えてると人工甘味料の味だなってすぐにわかってしまいますが、悪くないと思いました。
※大正製薬さんからは特に何ももらってません。この記事は書きたかったので書いただけです。
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