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先日、ジャニーズJr. 出身のグループ、Travis Japan が America’s Got Talent Season 17に出演し、審査員の絶賛を受けオーディションを通過したとの報が入ってきました。
私はジャニーズとかにはそれほど興味はないんですが、サムネを見て、かなりかっこいいなこれ、と思って素直に感心してしまいました。AGTに日本人が出てくること自体が珍しいので、かなり期待しています。
AGTの仕組みと今後の道のり
America’s Got Talent は全米ネットワークで放送されている公開オーディション番組です。世界中からあらゆるジャンルのパフォーマーたちが、優勝をかけてパフォーマンスを見せてくれます。今回のオーディションはその第1ラウンドと言ったところ(実際にはこのステージに上がるだけでも大変なものみたいですが)。
例年通りであれば、このあとさらに4回のパフォーマンスが待っています。
- Judge Cuts :二次予選。オーディションは人数無制限で通過させますが、生放送の準々決勝以降の枠は数が限られているので、ここでもう一度人数を絞ります。通過できるかどうかは審査員の一存です。なお、ここでもゲスト審査員によるゴールデンブザーのチャンスがあります。
- 準々決勝、準決勝、決勝:全て生放送です。全米の視聴者投票で結果が決まります。準々決勝時点で30~40組程度残っていますが、勝つのはただ1組です。
【2022.8.3 追記】
Season 10~15 までは毎回4週かけて Judge Cuts を放送していたのですが、昨年度(Season 16)は代わりに特別予選を挟んでいて、Judge Cuts はありませんでした。
今年のスケジュールは例年とは変わって特殊で、Judge Cutsと準々決勝がなく、いきなり準決勝から始まります。詳しくは以下に記事を作り直しましたのでそちらをご覧ください。
優勝賞金
AGTは他国版と比較しても比べ物にならないほど賞金が多く、その額なんと100万ドル(日本円にして1.3億円!!!)。さらに、一定期間ラスベガスのショーの主演を飾る契約の権利を得ます。
厳しいことに、準優勝以下には全く賞金は出ません。勝者総取りです。
もっとも、AGTで決勝まで残った時点でそれなりの力があることは証明されているので、そのあと何らかのスポンサー契約をしたり、メディアに起用されたりする人も多く、全く無価値というわけではありません。優勝していないけれどその後同年の優勝者より有名になった、というケースはいくらでもあります。
Travis Japan は勝てるのか? AGTの傾向を見る
さて、非常に厳しい道のりであることがわかっていただけたと思いますが、Travis Japan に勝機はあるのでしょうか?
過去のGot Talent シリーズのデータを見てみましょう。
団体出場者の勝率について
AGTには数多のグループが出場していますが、実は本シーズンで2人以上の歌手グループやコーラスが優勝を飾ったことは一度もありません。イギリス版など他の国のGot Talentではグループでの優勝者がいますが、AGTではグループ歌手の最高位は長らく準優勝のまま。歌手に限らずグループの勝率は全体的に低く、ジャッジの Simon もたまにコメントしていますが、ジンクスとなって立ちはだかっています。
AGT Season 1 (2006) | The Millers | 歌手 |
AGT Season 1 (2006) | All That! | タップダンサー |
AGT Season 6 (2011) | Silhouettes | 影絵アート |
AGT Season 11 (2016) | The Clairvoyants | メンタリストデュオ |
AGT Season 13 (2018) | Zurcaroh | アクロバット |
AGT Season 14 (2019) | Detroit Youth Choir | コーラス |
AGT Season 15 (2020) | Broken Roots | 歌手 |
AGT Season 1 は2位と3位の区別がないため、同時準優勝
※例外として、犬のサーカス集団の Olate Dogs は優勝経験があります。また、番外編の Champions シリーズで アクロバット集団の V.Unbeatable が優勝したことがあります。
男性アイドルグループの勝率について
過去の出場者でジャンルが近く、好成績を残しているグループを見てみましょう。
Collabro (BGT Season 8, AGT: The Champions 1)
男性5人組の歌手グループです。結成からわずか1ヵ月でBGTに出場しました。最終成績は優勝。
その後メジャーデビューし活躍の場を広げていましたが、2016年にメンバーのRichard Hadfield が脱退(ソロ活動しています)。2020年にはAGT: The Champions に4人で出場しましたが、残念ながら予選敗退しています。
Boyband (BGT Season 9)
5人組のダンサーです。BGTでゴールデンブザーを獲得し、決勝まで進出しました。
この時のオーディションの動画は再生数6000万回超とメガヒットを記録しています。それがこちら。
決勝のパフォーマンスでSimon に若干ダメ出しされており、どんなに前評判が良くても最後まで大絶賛というわけにはいかないのが怖いところ。Simon の評価は視聴者投票の結果にかなり影響を及ぼすと思われるので、気が抜けません。
Justice Crew (Australia’s Got Talent Season 4)
オーストラリア発のダンスポップ。過去の出場者中、日本で言うところのアイドルグループに一番近いのがこのグループです。オーストラリアのフランチャイズ番組で優勝しています。メンバーは当初8人でしたが、2022年現在5人です。
AGT: The Champions にも登場。ヒット曲の”Boom Boom”で会場を大いに沸かせてくれましたが、残念ながら予選敗退となっています。
Travis Japan が何か参考にできるところがあるとすればこのグループでしょう。
アイドルグループ自体、AGTではなかなか見ないジャンル
お気付きになったかもしれませんが、ここまで紹介したグループは皆、初出場がAGTではありません。Collabro と Justice Crew は海外で好成績を収め、AGTに乗り込んできているグループです。そもそも、AGT の本シリーズにアイドルグループが出てくること自体がそれほど多くないのです。
歌手限定の類似番組が多いことは原因の一つでしょう。PENTATONIXを排出した”Sing Off”, イギリスですがOne Direction や Leona Lewis らを世に送り出した”The X Factor”など、歌で勝負するならGot Talent 以外にも選択肢があります。
アメリカ人以外の勝率について
気になった方もいるかもしれませんので、これについてもコメントしておきましょう。
アメリカ人でなくても勝てます。というか、日本人の優勝歴があります。
蛯名健一 (AGT Season 8)
知ってる人は知っている、エビケンこと蛯名健一さんは日本が世界に誇るダンスパフォーマーです。AGT Season 8を優勝しています。この動画は歴代のAGT の動画の中でもあの Grace VanderWaal を超え再生数1位、総再生数は堂々の1億回越えを記録しています。
ということで、日本人であることが不利に働くことはありません! 参考に、過去の優勝者でアメリカ出身でない方々は以下の通りです。
AGT Season 8 (2013) | 蛯名健一 | ダンスパフォーマー | 日本 |
AGT Season 10 (2015) | Paul Zerdin | 腹話術師 | イギリス |
AGT Season 13 (2018) AGT: The Champions (2020) | Shin Lim | マジシャン | カナダ |
AGT: The Champions 2 (2021) | V.Unbeatable | アクロバット集団 | インド |
まとめ
グループのジンクスこそありますが、総じて前例がないというだけであり、本番のプレッシャーに負けないパフォーマンスさえ見せれば勝機は十分にあると思います。
また生放送が始まると視聴者投票が結果を左右するので、それまでに十分名を知らしめておくこと、ファンを獲得することも重要になってきそうです。Grace VanderWaal が優勝した時は地元の人々が皆で団結して応援しようという動きがあったみたいで、僅差での優勝に繋がっています。
ちなみに:日本から応援はできないの?
視聴者投票と聞いて応援したい方もいると思いますが、残念ながらAGTの投票システムはアメリカ国内からのみアクセス可能なようです。
ですので、日本から投票することはできません。結果は現地の人に任せて祈るしかありません。
これだけ話題を呼んでいるのですから、是非とも勝ち上がってほしいところです。