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Travis Japan の件で、AGTが日本でもにわかに盛り上がっています。
今後来るライブ決勝に向けてちゃんと出場者を見直して、今年はどんな人がいるのかを確認してみました(私は生放送で準決勝や決勝まで残るような本当にすごい人を見たいがためにAGTを見ているので、例年は予選を全部見ることはしないのです)。毎年見ているからこそ気が付いたことがあります。
今年の参加者、日本人がやけに多いです。
まず、TV放映される段階で日本人の参加者が全くいないシリーズの方が多いです。いても1人ですね。それが今年はなんと確認できただけで5組もいます。これはかなり異常というか、衝撃的です。
Contents
過去の日本人参加者
私が知る限りで過去にAGT か BGT (Britain’s Got Talent, イギリス版)に出場経験がある日本人は以下の通りです。(抜けがあったらこっそり教えてください)
AGT Season 8 (2013) | 蛯名健一 | ダンスパフォーマー | 優勝 |
AGT Season 10 (2015) | Siro-A | ダンスグループ | ゴールデンブザー 準決勝敗退 |
BGT Season 13 (2019) | Fabulous Sisters | ダンサー | 準決勝敗退 |
AGT Season 14 (2019) | ゆりやんレトリィバァ | ダンサー(?) | オーディション敗退 |
AGT: The Champions 1 (2019) | 蛯名健一 | ダンスパフォーマー | 予選敗退 |
BGT Season 15 (2022) | 岩崎圭一 | マジシャン | ゴールデンブザー 準決勝3位敗退 |
ご覧の通りです。もう15年以上続く世界的なオーディション番組ですが、全然いないんですよ。近年コロナ禍で渡航が難しくなったことを抜きにしても、です。今年がいかに特異的であるかがわかります。
今年の日本人参加者(全て予選通過)
折角なので、簡単ではありますが一挙ご紹介しましょう。 ※放映時登場順、見出しは敬称略です。
高田柊 (ヨーヨーパフォーマンス)
高田柊さんは1996年静岡県生まれの、日本が世界に誇るヨーヨーパフォーマー。なんとワールドヨーヨーコンテストで6度の優勝を誇る、正真正銘、世界の先駆者です。
「でもヨーヨーってあれでしょ、紐についてるのを上下させる……」という印象をお持ちの方は、とりあえず動画をご覧ください。想像以上に縦横無尽に躍動するヨーヨートリックを見ることができます。
上記ツイートでも触れられていますが、Simon の言う通りで事実ヨーヨーパフォーマンスが上位まで残っていたことは記憶にないです。ヨーヨー以外にもいくつかのジャンルで見受けられる原因として、パフォーマー1人に対してステージが広すぎるので、手元で行うパフォーマンスだとどうしてもインパクトに欠けるというのがあります。広いステージを広く使えるアクロバット系のパフォーマンスに対して優位を築くのがどうしても難しいのです。オーディションでSimon の予想を良い意味で裏切ってくれたので、ぜひ頑張ってほしいところ!
ライブ準決勝では第5週に登場します。Travis Japan と同グループです。
Aiko Tanaka (コメディアン)
こちらはなんと日本人女性のコメディアン(最近アメリカの市民権を得たそうです)。日本と外国の笑いの感覚は全然違うのに、それをものともせずアメリカ中の笑いを取っている凄腕です。どうもアメリカ在住歴が長いらしく、日本と繋がりがありそうな情報はあまり出てきませんでした。
これ、現地の人には結構ウケが良かったらしく、日本より現地での方が話題になっているくらいです。
コメディアンはAGTの中でも比較的メジャーなジャンルで例年数もそれなりにいるのですが、普通の日本人が日本のお笑いを聞く感覚で聞いてもあまり笑いのポイントがわからなかったり、聞き取れなかったりすることも多いと思います。アメリカンジョークは現地の文化について深く理解していないと、直訳しても何が面白いのかわからない話とかが結構多いです。
ライブ準決勝では第2週に登場します。
Fusion Japan (ダンスグループ)
Fusion Japan は「フュージョン」の名の通り、「九州男児新鮮組」と「Fabulous Sisters」という2グループが合体して構成されたダンスグループです。
このうち、Fabulous Sisters は Britain’s Got Talent への出場経験があります。今回男女混成となってアメリカでリベンジ、というわけです。
こちらもライブ準決勝では第2週に登場します。
【補足】タナカさんと Fusion Japan がちょっと目立たなかった、とある理由
実はタナカさんの直後、Fusion Japan の直前にいた歌手の女の子、Madison Taylor Baez がゴールデンブザーを(それもある前代未聞の方法で)獲っています。そのため話題がかなりそちらにさらわれてしまった感があり、やや目立たなかったのも致し方ないかもしれません。
今後の結果次第ではありますが、Madison Taylor Baez については後日個別に書かせていただこうと思っています。
MPLUSPLUS (マルチメディア・ダンスパフォーマンス)
なんだか一風変わった名前ですが、これは団体名であり社名。工学博士の藤本実さんを中心に、クリエイターとテクノロジスト達による新しい形のパフォーマンスを生み出している集団です。代表的なところでは2021年の東京パラリンピックで「光の振付師」として開会式の演出を手掛けています。
AGTではリボンダンスと光を組み合わせたパフォーマンスを見せ、見事に会場を沸かせ、満場一致の”Yes”でオーディションを通過しています。
ライブ準決勝では第3週に登場します。
Travis Japan
Travis Japan はジャニーズJr. 発のダンスパフォーマーグループの7人組。活動歴は2012年からと長く、2022年からメンバーでアメリカに無期限留学し、日本での活動を休止しています。現地ではダンスコンテストへの出場など精力的に活動されており、今回のオーディション出場もその一環です。
Travis Japan については個別記事がありますので、そちらもご覧ください。
ライブ準決勝では第5週に登場します。高田柊さんと同グループです。
【余談】日本人ではないけれど
実は Got Talent シリーズの優勝者の中には、日本人の血が入っている方が複数います。
Bianca Ryan (AGT Season 1, AGT: The Champions 1)
Bianca Ryan は、長い歴史を誇る America’s Got Talent の栄えある初代優勝者です。優勝当時の年齢は11歳。これは今でも破られていないAGT史上最年少優勝記録です(ちなみに2位はDarci Lynne と Grace VanderWaal で共に12歳)。
そんな彼女は母方の祖母が日本人のクォーター。他にアイルランド、イタリア、ドイツの血も入っているそうで、まさに「人種のるつぼ」アメリカを体現したかのような生い立ちです。実は2008年に一度来日しています。
キャリアの最中で一度声帯麻痺という歌手にとって致命的な事態に陥り、しばらく表舞台から姿を消していましたが、AGT: The Champions で13年ぶりにAGTの舞台に凱旋し、過日の歌声が健在であることを示してくれました。
AGT Season 1 (2006) | 優勝 |
AGT: The Champions 1 予選 (2019) | 予選2位敗退 |
AGT: The Champions 1 決勝 (2019) | ゲストパフォーマンス |
Angelina Jordan (Norway’s Got Talent, AGT: The Champions 2)
Angelina Jordan はノルウェーのオスロ出身。わずか7歳でありながらジャズ歌手として、ノルウェー版の Got Talent で優勝しました。カバーのレパートリーはビリー・ホリデイやルイ・アームストロングなど、「この年でそんなの歌えるの!?」と思うようなものばかり。甘美な歌声にきっと魅了されるはず。
本国版優勝の実績をもってAGT: The Champions にも登場(この時点で13歳です)。「Simon の前で歌うのが10年来の夢だった」と語り、かの有名な Bohemian Rhapsody (ボヘミアン・ラプソディ)のジャズアレンジという異色のナンバーを披露。見事ゴールデンブザーを射止めた実力者です。
Norway’s Got Talent 2014 | 優勝 |
AGT: The Champions 2 予選 | ゴールデンブザー (Heidi Klum) |
AGT: The Champions 2 決勝 | 敗退 |
彼女は祖父が日本人のクォーター。彼女も2015年にコンサートのため来日経験があります。私の大好きな Got Talent 出身歌手の一人なので、いずれ個別に詳しく書かせてもらおうと思っています。
また、日本にまつわるこんなエピソード持ちの方もいます。
Grace Vanderwaal (AGT Season 11)
AGT Season 11 優勝を飾った彼女についてはこちらの記事を参照ください。
実は彼女は日本好き。優勝した翌年に来日した際は浴衣を着てコンサートをしています。
また、彼女が飼っている(いた?)2頭の犬のうち片方の名前が“Kuro”。日本語っぽい。
Tokio Myers (BGT Season 11, AGT : The Champions 1)
作曲家、編曲家、ピアニストという極めて珍しいジャンルでの BGT の優勝者です。詳しくは個別記事をご覧ください。
日本との関係はというと、説明するまでもないでしょうが、ズバリ名前ですね。とても珍しい名前です。
ちなみに芸名なので本名ではありませんし、今のところこの名前にした理由なども明かされていないので、日本とのつながりは不明です。
YouTube のコメントに、「Tokio が素晴らしすぎるから日本の首都は彼の名にあやかる意味でトーキョーになったんだろう」っていうめちゃくちゃなコメントがあって笑ってしまったことがあります。何なら私は別にそれでもいいです。
日本の才能が世界へ。世界の才能も日本へ!
出場者の皆様を応援する動機は人それぞれ、純粋なファンであったり関係のある方であったりと色々だと思います。
私としては、日本勢が良い結果を残すことによって日本にGot Talent の話題が入ってくるようになることに期待しています。本HPでも過去の優勝者を中心に色々な方を紹介していますが、すごい才能を持った人だけど日本であまり話題になっていない、という人はまだまだ多いのです。そういう方がこの盛り上がりを機に日本に興味を持ってくれたら、またとない喜びです。
健闘を祈りましょう!