豊住線沿線予定地には何がある? 始点から終点まで全線歩いてみた【前編 豊洲~東陽町】

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東京都心の交通の要、東京メトロ。

現在同社が保有する鉄道路線(地下鉄)は9本あり、最も新しいのは2008年に開業した副都心線。たしかその当時、同社の広報が「今後の開発計画は(今のところ)ない」と発言したのを受けて「最後の地下鉄」などと呼ばれていたような気がしていたのですが、最近、既存の路線である有楽町線の支線を引く、延伸計画なるものがにわかに注目を集めています。

新たな路線の沿線には、一体なにがあるのでしょう?

有楽町線支線、豊住線

この支線は洲駅と吉駅をつなぐ、全長5kmほどの短い路線になります。両駅の頭文字を取って豊住線です。

停車駅は以下の5つ。

豊洲駅有楽町線、ゆりかもめ
枝川駅※
東陽町駅東西線
千石駅※
住吉駅半蔵門線、都営新宿線
※印の駅名は仮称

千石駅は文京区、都営三田線に同名の駅がありますので、ほぼ確実に別の名前が付くことになると思います。記事中で「千石駅」の表記は特記しない限り豊住線の千石駅予定地を指すものとします。

※東陽町駅も仮称とする資料もありましたが、調査報告書には普通に東陽町駅の記載がありましたので、これは誤植だと思います。

建設の意義

東京23区東部の江東区周辺の交通網は、全体的に東西方向の流れには強い一方で南北方向の流れに弱いという特徴があります。これは単純に、東京都の中心部に向かって放射状に交通網を敷いているために、江東区を通過する鉄道網はほとんど全てが東西方向を向いているというのが主な原因です。

豊住線は新規に南北方向へのルートを提供します。これにより人の流れを分散させることができ、特に混雑率の高い東西線や半蔵門線、また直接は繋がりませんが京葉線のピーク時の混雑率を軽減することができると見られています。


さて、この豊住線沿線エリア。実際に住んでいる人ならともかく、そうでない人にとっては未知のエリアではないでしょうか。

今回はそんな豊洲~住吉間ルートを、実際の豊住線ルートマップ通りに歩いてみたいと思います。

タモリ倶楽部ぐらいしかやりそうにない話ですね。

豊洲駅~枝川駅

スタートは有楽町線、豊洲駅。10:30出発です。

今回同行してくれるのは中学時代からの旧友、八葉氏(@8ha4)。東海道をはじめとした各地の街道を一人で完歩している、筋金入りの奇人散歩のプロです。

彼とはわざわざこのホーム上で待ち合わせました。というのも、現在蓋がされてホームと一体化している2、3番線が、まさにこの豊住線の予定地だから。

この空間、ホームドアもついているけど何だろう、って思っていた方は多いのでは?

仮設の蓋の下にはちゃんと線路が通っており、この線路は実は新木場方面ではなく住吉方面を向いているのです。豊洲駅ホームが完成した昔から、この計画自体はあったわけですね。

ちなみにホーム端(新木場・住吉側)は線路の高さが同じではなく、やや段差があります。これについてもちゃんと理由がありますが、この話はまた後ほど。

いざ出発!……の前に朝から何も食べていないので、コンビニで軽食を買っていきます。

セブンイレブン豊洲店は実は国内一号店です。だからといって外観に特別なところは何もありませんし、店内にも特に何もありませんでしたが。

駅前に戻って、今度こそ出発です。

最初は有楽町線と同じ方向を向いていますので晴海通りを南下しますが、すぐに左の路地に折れます。ここで有楽町線本線とはお別れ。わずか2ブロック分の短い付き合いでした。

豊洲小学校近辺。この辺りは都営住宅が多いですね。

この道を突き当たりまで進むと、豊洲運河に当たります。

豊住線はここを真っ直ぐ進みますが、人が渡れる橋は架かっていないので、運河沿いの遊歩道をちょっと北上して迂回します。橋を渡ると枝川です。

枝川1丁目はその地番だけで長方形の埋め立て地の島を独占しており、集合住宅と海運倉庫でその大半が占められています。人口は2021年時点で5,000人弱。

この辺りは地下鉄網から完全に切り離されており、バスが地元住民の足として機能しているようです。

線路が地下を通る予定の場所には都有地(空き地)もありました。

開通したらそれに合わせて再開発もあるのでしょうか。

北上して枝川橋を渡ると枝川2丁目です。枝川2丁目と同3丁目で1つの島になっており、総人口はこちらも5,000人ほど。

橋から南東方面の眺望は無機質で殺風景。いかにも東京の港湾地区。

橋の根付にあった「うさぎさん公園」。うさぎさんしかおらん。

そのまま直進すると枝川2丁目と3丁目の境、首都高速9号深川線が跨ぐ交差点が枝川駅予定地です。枝川2丁目バス停があります。

上を通るのが首都高速9号線です。

現在この辺りの最寄り駅は豊洲駅JR京葉線の潮見駅ということになります。

枝川駅~東陽町駅

信号を渡って少し進むと枝川3丁目。枝川小学校があります。

謎のユニコーンがいるのがチャームポイントです。何?

このまままっすぐ道沿いに進むと強制的に南の方向に曲がらされて潮見のほうに行ってしまいます。

そこでマンションの隙間にあるしおかぜ橋なる橋を渡り、汐見運河をまたいで塩浜方面へ。

Google mapではほとんど添え物みたいな扱いですが、やはり近隣の公共交通機関へのアクセスの問題で結構通行量の多い橋です。汐見運河を渡る橋とその先の陸橋を2本合わせてしおかぜ橋と呼んでいます。

しおかぜ橋(海)から東方向の眺望。海に架かるのは京葉線で、越中島-潮見駅間のちょうど地下から地上に出てくる区間です。

しおかぜ橋(陸)から。京葉線がちょうど地上に出てくる場所です。

橋を渡って少し進むと塩浜通りに出るので、東方面へ。厳密には豊住線が走る場所はこの真下ではなくもう少し南側にあるのですが、道がないので断念。

割ときれいなマンションが多く、地元住民の往来もそれなりにあるので、埋め立て地としてはかなりきれいな道です。マンション併設の公園で遊んでいる子供の姿も割と見かけました。

東京メトロ深川検車区の隣を歩きます。東西線の車両が停まっています。

豊住線はこの検車区の真下を横切る形で走ります。なんか奇妙。

そのまままっすぐ進むと明治通りにぶつかって新木場のほうに行ってしまうので、ここで北に折れます。東陽橋を渡ると東陽です。

実は「東陽町」という地番はありません。「東陽1丁目」~「東陽7丁目」(まとめて「東陽」)です。

橋を渡ると地番は東陽2丁目。

物流倉庫が目立つ枝川、塩浜とはずいぶんと景観が変わります。

江東区立東陽図書館。

公共施設も充実しています。

永代通りが横切る交差点に東陽町駅が位置しています。この辺りは戦前からある埋め立て地ですが、南から東陽町駅に向かってやや下りの傾斜があるという、ちょっと不思議なことになっていました。理由は不明。この辺りの歴史に詳しい方がいらっしゃったらぜひ知りたいところです。

駅近くの東陽公園には豊住線の早期実現を謳う標示が立っていました。豊住線は江東区を縦断する路線で近隣地域の活発化や地価の上昇が見込めますから、江東区はかなり乗り気です。

ちなみに地下鉄八号線というのは有楽町線のことです。

東陽町駅~

後編はこちら!