【ボドゲレビュー】Miraris (Domina Games) – かわいい顔してびっくりするぐらい理不尽な正体隠匿系ゲーム

せっかく人を集めてボドゲで遊ぶからには、実力で価値をもぎ取りたいのが人情というものです。ですが実力差がついているとどうにもならないガチガチの論理ゲーから、ちょっと理解している程度では運の前になすすべもなくひれ伏すような運ゲーまで、ゲームによって様々。

だいたい実力ではどうしようもない要素が大きすぎるゲームは畏敬を込めて(?)クソゲーと呼ばれがちです。ですが、もしそれさえも楽しめる環境であるなら、雑に繰り返し遊ぶのにこれ以上適したゲームもないでしょう。

「なんでこんなに見てくれが良くて、ルールだってちゃんとしてるのに……」と頭を抱えたくなってしまうようなゲームです。ギャップ萌え。

どんなゲーム?

他の人とバッティングしないように奇跡カードを競り落とし、点数をできるだけ多く集めるゲームです。

……というのがタテマエです。

  • プレイ人数:3~6人
  • 対象年齢:8歳以上
  • プレイ時間:10~20分
  • 版元:Domina Games
  • 発表年:2017

チャートは当HP独自の採点基準により作成しています。
全体的に右に寄っているものほどパーティーゲーム向け、左に寄っているものほどじっくり考えるボドゲマニア向けです。

デザイン:安定のDomina Games クオリティ。

盛り上がり:ゲームバランスが絶妙に笑えるレベルで崩壊しているので、ことあるごとに爆笑しながらやってます(めちゃくちゃなこと言ってる)。

その他:カードスリーブはポーカーサイズ(64×89mm)118枚。

こんな人にオススメ

  • このゲームの見た目が好きな人。
  • いろんなボドゲを幅広く楽しく遊びたいタイプの人。
  • バッティングゲームが好きな人。
  • ゲームバランスが多少ぶっ壊れていても楽しめる人。

プレイ風景

まずはルールを聞いてください。ここだけ聞くと本当に普通のゲームなんです。

プレイヤーの目的は、奇跡カードに書かれた得点(王冠マーク)をできるだけ多く集めることです。

各プレイヤーは手札に1~9の通貨を1枚ずつ持っています。

奇跡カードをよく切り混ぜ、山札とします。山札からプレイヤーの人数分のカードを、順番に山札の隣に並べます。

各プレイヤーは、他のプレイヤーに見えないように1枚のカードを選び、自分の前に伏せて置きます。全員がカードを置いたら、一斉にそのカードをオープンします。

そして、小さい数字を出したプレイヤーから順に、山札から近いほうにあるカードを受け取ります。

この時、同じ数字を出してしまったプレイヤーは何も受け取ることができません。使った通貨カードと受け取った奇跡カードは自分の前に裏向きで置き、奇跡カードを山札から場に補充します。取られなかった奇跡カードはキャリーオーバーされます。被れば被るほど場にはカードが貯まっていきます。

これを8ラウンド繰り返してゲーム終了です。通貨カードは1枚余ります。獲得した奇跡カードの点数が最も高い人が勝利です。

えっ、これだけ? ……普通ですよね?

このゲームの一番面白いところ – キャラクターカード

実は、各プレイヤーはゲーム開始時にキャラクターカードがランダムに配られています。自分以外のキャラクターカードが誰であるかは、ゲーム終了時に初めて明らかになります。ゲーム終了時にキャラクターカードの効果を解決し、それによって最終的な点数が決まります。

これの効果ですが、普通のものもあればぶっ壊れているものもあって、ぶっちゃけ性能差がありすぎてまともな勝負にするのが難しいものさえ入っています。

一部を紹介しましょう。

Ex.1 ローランド

※この効果は全員の中で最初に解決される。

あなたは山札の横に残った奇跡カードから1枚選んで獲得する。7種の奇跡カードをすべて集めた場合、あなたはゲームに勝利する。

唯一の特殊勝利カードです。狙いたくなりますが実際結構困難で、人数が多いとカードが取りづらいし、人数が少ないと必要なカードがめくれない、ということがよく起きるので、見た目以上に難しいです。

Ex.2 セレナ

あなたは山札から奇跡カードを4枚引いて獲得する。

お? 何言ってんだ……?

最後に残った山札から最大28点(7点×4枚)をごそっと抜き取る可能性があります。

Ex.3 アリー

あなたが持つ「凍てつく墓標(2)」の点数は10になる。

要するに、自分だけ2点のカードが全て10点になります。1,10,3,4,5,6,7です。控えめに言ってやばいです。

Ex.4 ファティマ

あなたが「幻影の庭(1)を持っていないなら、あなたが持つ奇跡カードの点数は7になる。」

簡単に言うと、1点のカードを取らなかった場合、あなたが持っている奇跡カードは元の点数に関係なく全部1枚7点です。条件付きですが他の人が1,2,3,4,5,6,7を争っているのに、一人だけ1,7,7,7,7,7,7です。ズルです。

多分これが一番強いと思います。

Ex.5 マリアーノ

「マリアーノ」の点数は、あなたが持つ奇跡カードが3枚なら25、2枚以下なら50になる。

世捨て人です。要するに他のプレイヤーとは真逆、他のプレイヤーと被せ続けてカードを取らないことを要求してきます。

5人、6人プレイならいざ知らず、3人プレイでこれが来た時の絶望感はやばいです。仮に50点取れても他のプレイヤーのカード次第では平気で負け得るというのがひどい。

Ex.6 アルマ、ナーダ

「アルマ」の点数は、いずれかのプレイヤーのキャラクターカードが「ナーダ」なら5、そうでなければ20になる。

アルマ

「ナーダ」の点数は、いずれかのプレイヤーのキャラクターカードが「アルマ」なら5、そうでなければ20になる。

ナーダ

不倶戴天の双子です。奇跡カードそっちのけで完全にキャラクターだけで別ゲーをやっています。ケンカすんな。

この他にも多数のキャラクターカードが収録されていますが、この個性豊かすぎるキャラクターたちのおかげで勝敗がプレイヤーの手腕でどうにかなるレベルではないのがこのゲームの持ち味です。ゲラゲラ笑いながらやるくらいがちょうどいいです。

バリアント(拡張ルール)

ダブルス

既にめちゃくちゃなので(失礼)、もっとめちゃくちゃにしてやろうという趣旨のもと開発された独自ルールをご紹介します。その名もダブルス

ルールは簡単。

キャラクターカードを2枚ずつ配り、両方の効果を持ちます。

ルールの適用順によって点数が変わる組み合わせがありますが、その場合はカードに指定がなければ解決順は自由に選べるものとします(点数が高くなるように解釈してよい)。

このルールをプレイするなら3人プレイぐらいがちょうどいいです。中には爆発的なシナジーを生んでしまう組み合わせやとんでもないディスシナジーを持った組み合わせもあります(例えば、アルマとナーダが手元に2枚あれば何もせずただの2枚10点です)。

組み合わせによっては平気で100点を超えます。爆笑しながら遊びましょう。

オリジナルカードを作ろう

もともとバランスがぶち壊れているので(失礼)、逆にちゃんとバランスがとれるようなカードを用意してやるというのも一つの手です。ぜひ色々考えてみてください。以下に一例を示します。

「ミリア」の点数は、あなたが持っている奇跡カードの種類数の3倍に等しい。

ミリア

あなたは自分が所持している奇跡カードのうち1種類を選んでも良い。そうしたなら、あなたが持つその種類の奇跡カードは全て1点となり、あなたが持つ「幻影の庭(1)」の点数は全てその選んだカードの点数となる。

ローレン

あなたは奇跡カードを3枚捨ててもよい。あなたがこの効果で奇跡カードを1枚以上捨てたなら、「エッタ」の点数は20になる(所持している奇跡カードが2枚以下なら、それらを全て捨てる。3枚以上なら3枚捨てる)。

エッタ

あなたの奇跡カードの点数は0になる。
あなたの左隣のプレイヤーがゲームに勝利する時、あなたはゲームに勝利する。

リン

総評

とまあめちゃくちゃな紹介をしてきましたが、勝ち負け気にせず楽しく雑に遊ぶには本当に向いています! 絵柄もかわいいので、飾っておくだけでもだいぶ絵になるのも点数が高いですね。

パッケージもコンパクトでお手頃なお値段です。頻繁にボドゲで遊ぶ方におススメしたい一品です。


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